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労災様式第5号とは?指定医療機関で治療を受けるときに必要な申請書の全知識

  • 執筆者の写真: あいパートナーズ
    あいパートナーズ
  • 8月25日
  • 読了時間: 5分

業務中にケガや病気を負った際、労災保険によって治療費がカバーされる制度があります。その中でも、労災指定医療機関を利用する場合に必要な書類が「労災様式第5号」です。


この記事では、労災様式第5号の基本から提出方法、書き方、注意点までを詳しく解説し、企業や労働者が正しく対応できるようにナビゲートします。


労災

✅労災様式第5号とは何か?


労災様式第5号は、「療養補償給付たる療養の給付請求書」として知られ、労災によるケガや病気に対し、労災指定の医療機関で治療を受ける際に使われる申請書です。これを提出することで、治療費の窓口負担がゼロになり、医療機関が直接、労災保険に請求する形となります。これを「現物給付」と言います。


労災が発生した場合、医療費を労災保険でカバーするにはこの書類が極めて重要になります。企業側としても、適切な様式を準備し、労働者がスムーズに治療を受けられるようサポートする体制が求められます。


✅使用するシチュエーション


労災様式第5号が使用される典型的な場面は以下のとおりです。


  • 工場での作業中に機械に指を挟んで負傷した

  • 建設現場で落下事故に遭い、病院で治療を受ける

  • 倉庫作業中に腰を痛め、整形外科を受診する


これらはいずれも業務中の事故であり、労働者が労災指定の病院で治療を受ける際に労災5号を提出することで、治療費を本人が立て替えることなく済ませられます。


✅様式第5号の基本的な構成


労災様式第5号には、主に以下の情報を記載します。


  • 労働者の氏名・生年月日・性別・住所

  • 被災年月日と時間

  • 負傷または疾病の名称・部位・状態

  • 災害発生状況の詳細

  • 事業場名、事業主氏名・住所・連絡先

  • 労働保険番号

  • 医療機関名、所在地、連絡先


このうち特に「災害発生状況」の欄は、事故の詳細を正確に記入する必要があり、審査の通過に影響する重要なポイントです。


✅提出の流れと役割分担


様式第5号の提出には、事業主と労働者、医療機関がそれぞれ以下のように関与します。


  1. 労働者が事故発生後、速やかに会社へ報告

  2. 会社が災害の事実を確認し、労災として認定

  3. 会社が様式第5号を準備し、必要事項を記入

  4. 労働者が病院の窓口で労災5号を提出

  5. 医療機関が診療を行い、費用を労災保険に請求


重要なのは、事業主が労災の事実を適切に認識し、申請手続きに協力することです。万が一、事業主が労災の発生を否認した場合は、労働者が自力で労働基準監督署に相談し、別途手続きを行う必要があります。


✅他の労災様式との違い


労災保険の給付申請に使用される書類にはいくつかの種類がありますが、労災様式第5号と最も混同されやすいのが「労災様式第7号」です。


労災様式第5号は、労災指定の病院や診療所で治療を受けるときに使う書類で、治療費は労働者が一切負担せずに済みます。この場合、医療機関がそのまま労災保険に請求を行うため、労働者は治療を受けるだけで完了します。


一方で、労災7号は、労災指定外の病院や薬局、施術所(整骨院・はり灸院など)を利用した場合に使用されます。このケースでは、労働者がいったん費用を立て替えたうえで、後日、労災保険へ費用の請求を行います。つまり、労災7号を使う場合は「後から返してもらう」形式であり、申請手続きも労働者自身が行う必要があります。


さらに、通勤災害でケガをした場合には、労災5号ではなく「様式第16号の3」を使用する必要があるため、事故の種類(業務災害か通勤災害か)をきちんと見極めることも重要です。


このように、どの様式を使うべきかは「どこで治療を受けたか」「どのような事故か」によって異なります。様式を誤ると、補償が遅れたり申請が却下されるリスクがあるため、適切な判断が求められます。


✅労災様式5号の書き方のコツ


以下のポイントを押さえることで、審査に通りやすい労災様式5号が作成できます。


  1. 災害の原因・状況を明確に書く

    単に「作業中にケガをした」では不十分です。「○○作業中に○○の機械操作ミスにより、右手人差し指を挟んだ」など、発生の経緯と関係性が明確になるように記述します。


  2. 医療機関の名称は正式名称で

    通称や略称ではなく、登録された正式名称・所在地・電話番号を記載することで照合ミスを防げます。


  3. 労働保険番号は正確に

    事業所ごとに付与されるこの番号は審査上非常に重要で、ミスがあると処理が遅れる可能性があります。


✅注意点とよくあるトラブル


・様式の書き間違い

記入漏れや誤記載は処理が遅れる最大の原因です。特に医療機関名や保険番号のミスが多発します。


・事業主が労災と認めないケース

「労災隠し」と呼ばれる事案です。申請を拒否された場合、労働者は自力で監督署に申し立てることができます。証拠となる診断書や写真などを残しておくことが有効です。


・通勤災害との混同

業務中ではなく通勤中のケガの場合、「様式第16号の3」が必要になります。対象が違うと処理されません。


✅労災対応で顧問契約が重要な理由


企業が労災対応を適切に行うには、労働法や社会保険制度の知識が不可欠です。そこで、社会保険労務士や労働問題に強い弁護士と顧問契約を結ぶことを強くおすすめします。


1. 書類作成と管理の支援が受けられる

様式第5号をはじめとする労災関連書類の記入・提出ミスを防げます。


2. トラブル発生時もスムーズに対応できる

労災隠しの指摘や労働基準監督署からの調査にも、法的根拠を持って対応できます。


3. 労働環境の改善にもつながる

定期的な労務相談を通じて、安全対策やハラスメント防止など、リスクの芽を早期に摘むことができます。


労災は「起きてから考える」のではなく、「起きる前に備える」ことが最重要です。その体制を作る意味でも、専門家との顧問契約は大きな価値があります。


✅まとめ:労災5号の正しい理解が労使トラブルを防ぐ


労災様式第5号は、労働者が安心して治療を受けられるようにするための重要な書類です。企業にとっても、従業員の安全・信頼を守るために欠かせない存在です。正しい理解と準備がなされていれば、トラブルなく迅速な補償が可能となります。


労災が発生したときに慌てないために、そして企業のリスクを最小限に抑えるために、日頃から正確な情報と体制を整えておきましょう。顧問契約を通じて労務管理を行うことが、企業の継続的な安定経営につながります。

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