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みなし残業制度でも定時退社OK?経営者が知るべき制度運用とリスク管理

  • 執筆者の写真: あいパートナーズ
    あいパートナーズ
  • 8月12日
  • 読了時間: 4分

更新日:8月23日

みなし残業制度(固定残業代制度)は、従業員に対する残業代支給の効率化と、人件費の予測可能性向上を目的として導入される制度です。しかしながら、制度運用においては誤解やトラブルも起こりやすく、経営者・管理者側としては正しい理解と適切な運用が不可欠です。


今回は「定時退社」との関係性にも触れながら、制度のポイントと留意点を整理します。


みなし残業

✅みなし残業制度の基本構造と導入の意義


みなし残業制度とは、一定時間分の時間外労働に対する手当を、あらかじめ月給に含めて支給する制度です。たとえば「月30時間分の残業代を固定支給」とした場合、実際に30時間残業していなくても、その金額は毎月支払われます。

この制度を導入することで、企業側は人件費の見通しを立てやすくなり、支給計算の工数も削減できます。一方、従業員にとっても、安定した給与が保証されるという安心感があります。


✅定時退社を認める姿勢が信頼を築く


「みなし残業だから、定時で帰るのはNG」と誤解されがちですが、それは誤った考え方です。みなし残業制度は、あくまで「時間外労働が発生する前提の手当」であり、実際に残業をする義務を課すものではありません。


従業員が予定された業務を効率的にこなし、定時で業務を終えられる状況であれば、定時退社を認めるべきです。この柔軟な対応が、働き方改革や従業員満足度向上にもつながります。


✅定時退社が評価に影響しない組織体制を


みなし残業制度の下でも、評価制度は「成果」や「貢献度」に基づいて構築されるべきです。定時で帰る社員を「やる気がない」と見なすような風土は、職場の健全な成長を妨げます。


むしろ、効率よく業務を終える能力を正当に評価し、「時間で測る」文化から「成果で評価する」文化へとシフトすることが、長期的には組織全体のパフォーマンスを高めます。


✅超過残業の管理と未払い防止は必須


みなし残業制度を導入していても、固定時間を超えて労働が発生した場合は、その分の残業代を別途支払う義務があります。これを怠ると、労働基準法違反となり、未払い残業代請求や訴訟リスクにつながります。


管理者は、日々の労働時間の把握を徹底し、タイムカードやシステムによる適切な記録と確認体制を整備する必要があります。


✅制度の運用でトラブルを避けるためのポイント


みなし残業制度を適正に運用するためには、以下のような対応が求められます。


  • 就業規則・雇用契約書に「みなし残業時間」「金額」「超過時の取り扱い」を明記する

  • 労働時間の実態を把握し、固定時間を超えた場合は追加で支給する

  • 制度の内容を従業員に丁寧に説明し、誤解を防ぐ

  • 定期的に業務量や制度の適正を見直す


これらを徹底することで、従業員とのトラブル回避はもちろん、企業イメージの向上にもつながります。


✅ブラック企業と誤解されないために


残念ながら、みなし残業制度を「合法的に残業代を払わない手段」として誤用する企業も存在します。そのような誤解を生まないためにも、制度の適正運用が不可欠です。


特に若年層を中心に「みなし残業=ブラック企業の証」と捉える傾向が強くなっており、制度自体の存在意義を再確認し、労使の信頼を構築する姿勢が求められます。


✅定時退社を促進するための職場づくり


最後に、みなし残業制度を活かしつつ、従業員の定時退社をスムーズにするために以下の取り組みも有効です:


  • 業務フローの見直しによる効率化

  • タスク管理ツールの導入で業務の「見える化」

  • 上司と部下間の定期的なコミュニケーションで業務負荷を調整

  • 定時退社を推奨する企業文化の醸成


これらを実践することで、みなし残業制度が単なるコスト調整ではなく、健全な働き方の一部として機能するようになります。


✅まとめ:みなし残業制度は「信頼」と「仕組み」がカギ


みなし残業制度を導入すること自体は、合法かつ実務的な選択肢です。ただし、その制度設計や運用が適正でなければ、従業員との間に不信感を生み、最終的には人材流出や訴訟リスクを招く可能性もあります。


制度に頼るだけでなく、業務の見直しや職場文化の改革を並行して行い、従業員の自律的な働き方を支援できる組織づくりを進めていきましょう。経営者としての信頼と責任が問われる時代です。

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