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36協定の落とし穴!45時間残業が3ヶ月連続するとどうなる?罰則・対策を解説

  • 執筆者の写真: あいパートナーズ
    あいパートナーズ
  • 9月12日
  • 読了時間: 5分

更新日:4 日前

36協定において、1ヶ月45時間以上の残業が3カ月連続で発生すると、法的リスクが急上昇します。労働基準監督署による指導対象となる可能性があり、場合によっては罰則や会社都合退職の認定がされてしまうことも。


特別条項の活用や適切な証明を整備しつつ、従業員の健康と法令順守を両立させるための労務管理は、企業にとって急務です。


36協定45時間

✅ 36協定とは?法定労働時間を超える働き方の“合意”


36協定とは、正式には「時間外・休日労働に関する協定」といい、従業員が法定労働時間を超えて働くために、会社と労働者(またはその代表)が書面で取り交わす協定です。通常、週40時間という法定労働時間を超えて労働をさせるには、この協定が必要です。協定がない場合、その超過労働は労働基準法違反となります。


もともとは柔軟な働き方を可能にする趣旨ですが、一方で長時間労働が慢性化しやすい法的枠組みでもあります。したがって、36協定をきちんと制度設計し、社員への理解を得た上で運用することが極めて重要です。企業にとっては安全弁であると同時に、適切な運用管理が求められる制度です。


✅ 「月45時間」上限の意味と背景


36協定では、通常の時間外労働の上限が「月45時間」「年360時間」と定められています。これは働きすぎによる健康障害を予防する措置であり、その根拠には労働政策の歴史的検討や、健康科学の知見があります。ただし現実には繁忙期などにこの上限を超えることもあり、その場合には法定の手続きに則って「特別条項」を設定する必要があります。


特別条項を使って上限を超える場合でも、年間の上限時間や回数に制限が設けられており、使い方を誤ると法的な問題に発展します。


✅ 「3ヶ月連続45時間超」の危険性とは?


36協定に定められた上限を超えて残業が発生した場合、それ自体が違法な可能性がありますが、特に「3ヶ月連続で月45時間以上」の残業があると、労働基準監督署の“指導対象”として重点的にチェックされやすくなります。


これは、単発的な忙しさではなく、継続的に長時間労働が続いている状態とみなされるからです。たとえば、以下のようなケースがあれば要注意です。


  • 月50時間→翌月48時間→その翌月47時間…と3ヶ月以上続く

  • 増員や業務調整の見直しをせずに放置されている


このような状況は、まさに監督署が現場介入を検討するレベルのリスクとなります。


✅ 法的リスク:指導・罰則・社員からの訴え


3ヶ月連続で月45時間以上の残業が発生すると、労働基準監督署から「是正勧告」や「立ち入り調査」が行われることがあります。改善されない場合には、企業に「書類送検」がなされることや、罰金などの罰則リスクも否定できません。


また、従業員が長時間労働によって心身の不調を訴えた場合、過重労働による健康被害として企業責任が問われるケースもあります。これらの法的リスクは、企業の信頼性にも大きなダメージとなる可能性があります。


✅ 会社都合退職として判断されるケースとは?


従業員が「やむを得ず退職した」場合、通常は「自己都合退職」として扱われますが、長時間残業が理由で退職に至ったと認められる場合は「会社都合退職」と判断されることがあります。この区分の違いは、失業給付の面で従業員にとって大きな差が出るため、企業にとって重要な判断ポイントです。


3ヶ月連続で45時間以上残業があったような環境では、退職理由として“健康を害したから”という事情が認められやすく、会社都合退職になるリスクが高まります。


✅ 特別条項による例外措置とその限界


36協定には「特別条項」を設けることで、通常の上限(45時間/月、360時間/年)を超えることが認められます。ただし、これは“緊急かつ一時的な事情”に限られ、例えば繁忙期に対応するために必要な臨時措置という位置づけです。


さらに、特別条項にも「使用回数制限」や「年間の時間外総量の上限」が定められており、使いすぎるとやはり監督署の対象となります。したがって、特別条項を使う場合も、使いどころを慎重に設計し、管理レベルを高める必要があります。


✅ 残業時間の“証明”と記録整備の必要性


労働基準監督署への対応や、従業員が特定受給資格者(※長時間労働による健康被害などで失業給付が特例的に適用される制度)として認定されるためには、客観的な残業時間の証拠が重要です。


そのため、勤怠管理システム、タイムカード、給与明細、タイムスタンプなどを整備し、いつ、どれだけの残業があったかを明確に記録しておく必要があります。これにより、監督署からの問い合わせに迅速かつ正確に対応できます。


✅ 労務管理の徹底:如何にしたら3カ月連続を防げるか?


3ヶ月連続で45時間以上の残業を発生させないためには、以下のような労務体制が効果的です:


  • 月次で残業時間をモニタリングし、異変を早期に察知する

  • 業務の繁閑の偏りを把握し、繁忙期には人員やシフト体制を強化する

  • 作業の効率化・業務フローの見直しを継続的に行う

  • 上司・部門長が責任を持って“残業抑制”に取り組む文化を育成する


これらの取り組みは、単に法令を守るだけでなく、従業員の健康や定着にも好影響を及ぼします。


✅ 従業員への“周知”と理解を深めるために


36協定や残業に関するルールが運用上では難解になりがちですが、従業員が正しく理解し、協力することが重要です。そのためには:


  • 就業規則や社内ポータルなどで36協定と各種ルールを明示

  • オリエンテーションや社内研修で説明・質疑対応の場を設ける

  • 定期的に「残業の現状」と「どこまで行くとリスクか」を共有し、透明性を確保する


といったコミュニケーション施策が効果的です。労働時間は会社と社員双方に関係する問題ですから、共通理解を深める工夫こそがリスク回避の鍵です。


✅まとめ:法令遵守と従業員ケアの両立を目指して


36協定における「月45時間/年360時間」の上限は、法律で定められた重要な制限です。特に「3ヶ月連続45時間超」の状況には、法的リスクが高まり、監督署の介入、罰則、従業員の送り出される退職区分など、複数の面で影響が及びます。


  • これを防ぐには次の取り組みがカギとなります:

  • 特別条項の正しい設計と運用

  • 残業時間の厳格な記録と証拠保全

  • 月次でのモニタリングと労務体制の柔軟な調整

  • 従業員への周知・理解浸透と社内コミュニケーションの強化


これらを通じて、法令遵守を果たしながら、働きやすさと健康を両立する環境づくりを推進していきましょう。

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