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出向者にも36協定は適用される?在籍出向・転籍出向の違いと実務対応を解説

  • 執筆者の写真: あいパートナーズ
    あいパートナーズ
  • 8月3日
  • 読了時間: 4分

更新日:8月7日

出向者が会社間をまたいで働く場合、どの「36協定」が適用されるのかは、人事・労務管理上非常に重要です。特に指揮命令権や労働時間管理の主体がどこにあるかによって、適用先・残業管理のルールが変わります。


本記事では、出向者と36協定の関係性を分かりやすく解説します。


36協定 出向者

✅出向者に関わる36協定の基本的な考え方


出向者が出向先で働く場合、どの36協定(時間外・休日労働に関する協定)が適用されるのかは、労務管理において非常に重要なポイントです。


36協定は、時間外労働や休日出勤を合法的に行うために労使間で締結されるもので、出向者がどの企業の指揮命令下にあるかで適用先が変わることになります。


✅出向の種類と労務提供の実態


出向には主に「在籍出向」と「転籍出向」があります。在籍出向は、出向元の企業に在籍しながら、出向先企業で勤務する形態です。一方、転籍出向では、出向元との雇用契約を終了し、出向先と新たに雇用契約を結びます。


出向者の指揮命令をどちらの会社が行うかによって、36協定の適用先が決まってくるのが一般的です。


✅原則として適用されるのは出向先の36協定


在籍出向であっても、日常的な勤務管理や労務の指揮命令が出向先で行われている場合、その出向者には出向先企業の36協定が適用されるのが原則です。


これは、実際に時間外労働や休日労働の指示を出すのが出向先であるため、その企業が36協定の責任を負う必要があるという考えに基づいています。


✅出向者の人数は協定対象者に含まれるか


36協定の届出には、協定の対象となる労働者数を記載する必要があります。このとき、出向者もその事業場で働く労働者であれば、協定対象者としてカウントされます。


ただし、管理監督者などの労働基準法上の適用除外者は対象から除かれます。


✅出向元と出向先をまたぐ場合の残業時間の通算


年度の途中で出向が行われた場合、36協定で定められた残業時間の上限をどのように扱うかは慎重な判断が必要です。特に月100時間未満や2~6ヶ月平均80時間以内という個人単位の上限は、出向元と出向先で通算して管理する必要があります。


一方、年720時間以内や月45時間の一般的な上限は通算不要とされています。


✅出向契約書に明記すべき労働条件


出向契約を締結する際には、出向先での労働時間や休日、時間外労働の取り扱いについて明確に記載し、出向者に説明と同意を得ることが重要です。


出向先の36協定が出向元よりも厳しい条件である場合には、出向者にとって不利益となる可能性があるため、慎重な対応が求められます。


✅兼務出向や管理監督者への注意点


兼務出向の場合、出向元と出向先の双方で勤務するため、それぞれの事業場の36協定が一部ずつ適用される形になります。また、出向先で管理監督者に該当する場合には、36協定の適用対象外とされるケースもあります。


ただし、その場合でも健康管理や過重労働防止の観点から、勤務時間の把握と管理は不可欠です。


✅勤怠管理の実務と課題


出向者の勤怠管理は、出向先が日々の出退勤を記録する一方で、出向元も労働時間の把握と労務管理を担います。両社で情報の共有がなされていないと、長時間労働や健康障害のリスクが高まります。


そのため、勤怠情報のリアルタイム共有や労働時間の集計方法を事前に取り決めておくことが不可欠です。


✅まとめ:36協定と出向者管理の最重要ポイント


出向者には出向先の36協定が適用されるのが原則であり、その協定の内容に基づいて時間外労働の管理を行う必要があります。特に在籍出向の場合は、出向元・出向先双方の責任範囲を明確にし、残業時間の通算や協定対象者のカウントなど実務上の対応を整理しておくことが重要です。


出向契約には勤務条件の詳細を記載し、労働者への丁寧な説明と合意が求められます。勤怠管理体制の整備と両社間の密な連携が、労働トラブル防止と働き方改革の実現に繋がります。

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