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給与過払いの返還を拒否された場合の段階的対応と時効のポイント

  • 執筆者の写真: あいパートナーズ
    あいパートナーズ
  • 8月13日
  • 読了時間: 3分

更新日:9月18日

給与の過払い分が発生した場合、それが会社の計算ミスや事務処理の誤りであっても、従業員には返還義務があります。しかし、実際には「知らなかった」「生活費に使ってしまった」などの理由から返還を拒否するケースもあります。会社側は、法的根拠に基づき、感情的な対立を避けながら段階的に対応することが重要です。


本記事では、給与の過払いに関する返還義務の法律的な基盤、返還拒否への実務的対応方法、時効や控除の注意点、そして専門家の活用方法まで、わかりやすく解説します。


給与過払い

✅給与の過払い分の返還義務と法的根拠


給与の過払い分は、たとえ会社側の過失によるものであっても、従業員は民法第703条「不当利得返還請求権」に基づき返還する義務があります。


この法律は「法律上の原因なく利益を受けた者は、その利益を返還しなければならない」という原則を定めています。過払いを知っていながら受け取った場合は「悪意」とされ、利息を付して返還する義務が生じます。


✅返還拒否に対する段階的な対応方法


給与の過払いは労使トラブルに発展しやすいため、いきなり訴訟を起こすのではなく、段階的なアプローチが有効です。


まずは従業員と直接話し合いを行い、過払いが発生した経緯と返還義務の根拠を丁寧に説明します。この際、従業員が納得できるよう、事務的ではなく配慮のあるコミュニケーションを心がけます。


一括返還が難しい場合には分割返済を提案し、生活への負担を軽減します。合意内容は必ず書面に残し、後日の紛争を防ぐことが重要です。


話し合いで解決しない場合は、内容証明郵便で正式に返還請求を行います。返還期限を明記し、法的措置を取る可能性があることを示すことで、相手に対応を促します。


それでも応じない場合は、裁判所に支払督促を申し立てます。異議がなければ強制執行が可能ですが、異議があった場合は民事訴訟へ移行します。訴訟では証拠や経緯の記録が重要となります。


✅不当利得返還請求権の時効と従業員の善意・悪意


不当利得返還請求権には時効があり、過払いが判明した日から5年、または支払日から10年で請求権が消滅します。


従業員が過払いを認識していた場合(悪意)は利息を付して返還する義務がありますが、認識していなかった場合(善意)は利息の支払い義務はありません。返還交渉は時効を見越して早期に行う必要があります。


✅給与からの控除と労使協定の必要性


過払い分を給与から直接控除する場合は、労働基準法の「賃金全額払いの原則」に違反しないよう、労使協定の締結や給与規程への明記が必要です。無断控除は違法となる可能性が高いため、必ず従業員の同意を得るか、協定に基づいて実施します。


✅専門家への相談でリスクを減らす


給与過払いの返還請求は、民法や労働法の知識が必要なため、弁護士や社会保険労務士への相談が有効です。専門家を介在させることで、法的に適切な手続きが可能となり、感情的対立を避けながら解決に導けます。


✅まとめ


給与の過払いは珍しい問題ではありませんが、対応を誤ると労使関係の悪化や訴訟リスクにつながります。まずは誠実な話し合いから始め、必要に応じて分割返済や内容証明、支払督促、訴訟などの手段を段階的に進めることが重要です。


時効や控除のルールも把握し、必要に応じて専門家の力を借りることで、円滑かつ確実な解決を目指しましょう。

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