兼務役員の社会保険・雇用保険の取り扱いはどうなるのか?
- あいパートナーズ
- 2024年10月3日
- 読了時間: 3分
更新日:2024年10月9日
企業において、取締役としての業務を行いながら、従業員としても職務を兼任する「兼務役員」が存在します。取締役は通常、雇用保険の適用対象外とされていますが、兼務役員の場合は労働者性が認められれば雇用保険に加入することが可能です。本コラムでは、兼務役員の社会保険・雇用保険の取り扱いはどうなるのか、取締役が雇用保険に加入するための条件や考慮すべきポイントを解説します。

✅ 兼務役員とは?
「兼務役員」とは、取締役としての責務を果たしながら、会社の中で従業員としての業務も兼ねている役員を指します。たとえば、取締役が経理部門や営業部門のマネージャーとして日常的な業務を行っている場合などが典型例です。
✅ 雇用保険の適用基準
雇用保険の適用は、労働者として認められるかどうかによって決まります。取締役としての業務が中心の場合、雇用保険の対象外となりますが、兼務役員が従業員としての業務も行っている場合には、労働者性が認められる可能性があります。
✅労働者性の判断基準
取締役が労働者として社会保険に加入するかを判断するための基準には、以下の要素が含まれます。
(1)指揮命令系統の存在
上司や会社の経営層からの指示に従い業務を遂行しているかが重要です。独立して業務を行う場合は労働者性が認められにくくなります。
(2)勤務実態
従業員と同様の勤務時間や勤務条件で業務を行っているかがポイントとなります。勤務時間の拘束がある場合は、労働者性が認定される傾向があります。
(3)給与体系の明確化
役員報酬と従業員としての給与が別々に設定されている場合、社会保険加入の可能性が高まります。役員報酬だけであれば、労働者として認定されにくいです。
✅雇用保険の適用例
例えば、以下のようなケースでは取締役が雇用保険に加入することが考えられます。
(1)管理職を兼務している場合
例えば、取締役が経理部門や人事部門の管理職として実務的な業務を遂行している場合、従業員としての労働者性が認められることがあります。
(2)労働者としての勤務が主である場合
取締役としての業務よりも従業員としての日常業務の割合が多く、実際の業務が指揮命令下で行われている場合、社会保険の適用が必要となります。
✅ 社会保険・雇用保険加入の際の注意点
取締役が社会保険に加入する際には、次の点に注意が必要です。
(1)保険料の算出
社会保険料は、労働者としての給与と役員報酬の両方を合算して計算されます。役員としての報酬が高い場合、保険料負担も大きくなる可能性があります。
(2)役員報酬の扱い
社会保険は労働者としての給与に対して適用されるため、役員報酬は労働者性の判断に大きく影響を与えます。役員報酬が高い場合は、従業員としての業務が主たるものかどうかが慎重に判断されます。
✅ 具体的な例:役員報酬と給与の分別
例えば、取締役が兼務している部署のマネージャーとして働き、役員報酬とは別に従業員としての給与を受け取っている場合、役員報酬と給与が明確に区分されていることで、労働者性が認められやすくなります。このような場合、雇用保険に加入する条件が整うことがあります。
✅兼務役員の社会保険・雇用保険の取り扱い手続きはお任せください
兼務役員の社会保険手続きは、通常の役員よりも複雑になることがあります。適切な手続きを行わないと、後々問題が発生する可能性があります。そんな煩雑な手続きは、ぜひ弊社にお任せください。専門知識をもとに、迅速かつ正確にサポートいたしますので、安心してご相談ください。
Comments