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リスキリングと労働時間の境界

リスキリングとは新たな職業や変化する職務に必要なスキルを習得する活動を指します。強制されない自主的な研修や学習は通常労働時間に該当しませんが、業務上の指示や必須の研修は労働時間とみなされます。

リスキングと労働時間の境界

✅リスキリングの重要性とその定義

リスキリングとは、新しい職業に対応するため、または現在の職業で求められるスキルの大きな変化に適応するために必要なスキルを習得する活動を指します。厚生労働省の報告書「変化する時代の多様な働き方に向けて」(令和5年)でも、企業がリスキリング支援やスキル評価の明確化に取り組む重要性が述べられており、助成金などの支援が拡大しています。また、個人向けの支援として、リスキリングを理由とした失業給付開始時期の短縮や休業中の給付金支給に関する議論も進行中です。


✅労働時間とその判断基準

労働基準法における「労働時間」は、使用者の指揮命令下にある時間と定義されます。この判断は、客観的な基準に基づき、労働契約や就業規則の内容に関わらず評価されます。特に、使用者が業務上義務付けた研修や教育訓練の時間は労働時間に該当します。一方で、自主性が尊重される活動については、労働時間に含まれないこともあります。


✅リスキリングと労働時間性の関係

リスキリング活動が労働時間に該当するかは、使用者からの義務付けや強制性があるかどうかに左右されます。例えば、厚生労働省のガイドラインでは、業務上の指示に基づく研修参加や学習時間は労働時間に含まれるとされています。一方で、自主的な学習や推奨レベルの取り組みでは、通常労働時間には含まれません。


✅実例:WEB学習の判断基準

判例では、WEB学習が義務ではなく、単なる自己研鑽のための推奨ツールであった場合、その学習時間は労働時間に該当しないとされています。たとえば、ある企業でWEB学習が推奨され、学習状況がシステムで把握されていた事例では、これが業務指示に当たらないとして、学習時間は労働時間とみなされませんでした。


✅具体的なケース:eラーニングの推奨と労働時間

企業がリスキリングの一環としてeラーニングを推奨した場合、以下の条件がなければ労働時間に該当しません。

  • 受講が業務遂行に必須ではないこと

  • 受講しなかった場合の制裁や不利益がないこと

    このような状況下での受講時間は、労働者個人の自主的な取り組みとして評価されます。


労務についてお悩みの方は、弊所までお気軽にご相談ください。

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