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手取り計算が難しい理由とは?給与設計で失敗しないための経営者向けガイド

  • 執筆者の写真: あいパートナーズ
    あいパートナーズ
  • 9月14日
  • 読了時間: 5分

給与は、従業員にとっても会社にとっても最も関心の高いテーマの一つです。特に「手取り額」は、働くモチベーションや生活基盤に直結するため、非常に重要な項目です。


しかし、実際の給与計算には社会保険や税金など複数の変動要素が絡むため、正確な手取り額を把握するのは想像以上に複雑です。


本記事では、手取り計算の構造とその難しさ、さらに経営者が社労士に業務を委託すべき理由を詳しく解説します。


手取り計算

✅手取り額とは何か?額面との違い


まず押さえておきたいのが、「手取り」と「額面」の違いです。額面(総支給額)は、基本給に各種手当(通勤手当・役職手当・残業代など)を加えた支給合計額を指します。一方の手取りは、この額面から「社会保険料」「所得税」「住民税」といった法定控除を差し引いた後、実際に従業員の口座に振り込まれる金額のことです。


経営者にとって重要なのは、「従業員が実際に受け取る金額=生活に使えるお金」が手取りであるという視点を持つことです。採用や昇給に際しては、額面だけでなく手取りのインパクトをしっかりと考慮すべきでしょう。


✅手取りの目安は75〜85%だが…


一般的に、手取りは額面の約75〜85%程度と言われています。たとえば、月給30万円なら、手取りはおおよそ22.5〜25.5万円が目安です。ただしこの割合は、従業員の年齢、扶養家族の有無、居住地、保険の加入状況などによっても変動します。


さらに、年収が上がるほど所得税・住民税の負担率が上昇するため、手取り率は下がる傾向があります。役職者や高年収層に対しては、額面と手取りの差がより大きくなることを前提に給与設計する必要があります。


✅給与計算の手取り計算の基本ステップと複雑さ


手取り額を計算するためには、以下のステップを踏む必要があります。


  1. 額面給与の確認

    基本給+手当(残業、役職、通勤など)をすべて合算します。


  2. 社会保険料の算出

    健康保険、厚生年金、雇用保険、介護保険(40歳以上)などを、標準報酬月額に応じて計算します。


  3. 所得税の計算

    給与所得控除や扶養控除を反映させた課税所得に、累進課税率をかけて計算します。


  4. 住民税の計算

    前年の所得をもとに市区町村が計算するため、毎月一定額が徴収されます。


  5. 手取り額の算出

    額面給与から上記の各種控除を差し引いた金額が、手取りになります。


この一連のプロセスの中で特に厄介なのが、「控除の条件が人ごとに異なる」ことと、「制度や料率が毎年変わる」点です。


✅社会保険料・税率の変動が手取りに与える影響


社会保険料率は、健康保険や年金制度の財政状況に応じて毎年見直されています。また、雇用保険料も景気や雇用環境に応じて改定されることがあり、会社が半分を負担するとはいえ、従業員の手取りに直接影響します。


さらに、所得税や住民税に関しても、政府の税制改正によって税率や控除額が変動することがあります。例えば、扶養控除の見直し、基礎控除の拡大、ふるさと納税による控除など、影響を受ける要素は多岐にわたります。


こうした複雑な要因を逐一追いかけながら正確に手取り額を計算するのは、社内の人事担当者だけで完結するには負担が大きすぎます。


✅社内対応の限界と人的ミスのリスク


中小企業やベンチャー企業に多いのが、経理や総務担当者が給与計算も兼任しているケースです。給与計算ソフトを使っていたとしても、税率や保険料率の設定ミス、扶養情報の更新忘れなどによって、誤った金額が支給されてしまうリスクは常に存在します。


万が一、給与の誤支給があれば、従業員の信頼を損ない、社内の士気にも悪影響を及ぼします。給与に関するトラブルは金額の大小に関わらず、感情的な問題に発展しやすい点も注意が必要です。


✅社労士に依頼するという選択


こうした背景から、給与計算や手取り計算を外部の専門家に委託することは非常に有効な選択肢です。特に社会保険労務士(社労士)は、給与・労務・保険制度のプロフェッショナルであり、以下のようなメリットがあります。


  • 最新の法改正に即した正確な計算

  • 手取りを前提とした給与シミュレーションの提案

  • 年収ベースでの人件費計画のサポート

  • 入退社や産休・育休などのイレギュラー対応

  • 社内トラブルの予防・対応アドバイス


さらに、給与計算業務を社労士へ委託することで、社内のリソースを本業に集中させることができます。これは特にリーダーシップを求められる経営者にとって、大きな時間的・精神的メリットです。


✅経営判断としての「専門家活用」


手取り額の正確な把握は、単なる事務作業の範囲にとどまりません。それは従業員の信頼構築、会社のガバナンス、人材採用戦略、予算管理、さらには企業ブランディングにまで影響を及ぼします。


経営者が「給与=コスト」としてだけでなく、「給与=価値ある投資」として捉えるためには、その裏側にある手取り・制度・人件費の全体像を把握する必要があります。そのためにも、社労士とのパートナーシップは今後ますます重要になるでしょう。


✅まとめ:給与計算は“経営課題”である


給与計算や手取り額の管理は、もはや単なる事務処理ではありません。制度改正に追いつく知識、個別事情に対応する柔軟性、法的リスクを回避する正確性、すべてが求められる高度な業務です。


経営者は、その重要性を理解し、必要であれば迷わず専門家の力を借りる判断が求められます。社労士との連携は、従業員に安心感を与え、企業の健全な成長を支える土台となるのです。

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