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給料差し押さえ通知が会社に届いたら?企業が取るべき正しい対応と注意点

  • 執筆者の写真: あいパートナーズ
    あいパートナーズ
  • 8月17日
  • 読了時間: 4分

給料差し押さえ通知が会社に届いたとき、企業としてはどのような対応をすれば良いのでしょうか。突然の通知に戸惑う担当者も少なくありませんが、適切な処理を行わなければ、企業にも法的なリスクが生じる可能性があります。


本記事では、会社が取るべき対応や注意点、従業員への対応方法までをわかりやすく解説します。

給料差し押さえ

✅ 給料差し押さえ通知とは何か


給料差し押さえとは、債務者である従業員が借金や養育費などを滞納した場合に、債権者が裁判所を通じてその給与の一部を差し押さえる手続きのことです。


会社には、第三債務者としてその通知が届き、以後、給与支払いの一部を債権者へ送金する義務が生じます。この通知は法的効力を持ち、無視した場合には企業側にも責任が問われる可能性があります。


✅ 会社がまずやってはいけないこと


差し押さえ通知を受けた後に、従業員の給与を通常通り全額支払ってしまうと、企業は第三債務者としての義務を果たさなかったことになり、債権者から企業自身が法的責任を追及されるリスクがあります。


まずは通知の内容をしっかり確認し、差押え対象となる金額を把握した上で、適切に処理する必要があります。


✅ 差押可能額の計算方法


差し押さえられる給与の金額には上限があります。民事執行法では、一般的な債権(借金など)に対しては、手取り給与の4分の1までと定められています。


ただし、給与が月33万円を超える場合は、超過部分の全額が差し押さえ対象になるため、計算には注意が必要です。養育費や婚姻費用の場合は、手取りの2分の1まで差し押さえが可能となります。


✅ 会社がやるべき3つの対応


まず1つ目は、給料の全額を支払わないようにし、差押対象額を計算して控除すること。2つ目は、控除した金額を裁判所または債権者に送金すること。そして3つ目は、裁判所に対して陳述書を提出することです。


この陳述書には、差押命令の内容に対する会社側の回答(給与債権の有無や支払い額など)を記載します。


✅ 差押命令が複数ある場合の対応


従業員に対して複数の債権者から差押命令が届いた場合、それぞれの差押額の合計が上限を超えてしまうことがあり

ます。


このようなケースでは、企業は差押限度額を超えた部分について裁判所に届け出を行い、供託を行うことが求められます。供託とは、一定の金額を法務局に預けることで、後の調整に備える法的手段です。


✅ 従業員本人への説明と連絡


法的には、会社が従業員に通知する義務はありませんが、現実的な業務運営の観点からは、差押命令が届いたことを従業員本人に伝えるのが一般的です。あくまで冷静かつ丁寧に事情を説明し、本人のプライバシーにも十分配慮した対応が必要です。


特に給与明細や源泉徴収票への記載に注意を払い、不必要な混乱を避ける工夫も重要です。


✅ 懲戒処分との関係は?


給料差し押さえはあくまで従業員個人の債務問題であり、会社の業務に直接的な支障を与えない限り、懲戒処分の理由とはなりません。


私生活上の事情を理由に処分することは不当とみなされる可能性が高く、慎重な判断が求められます。企業としては、必要以上に処罰的な姿勢を取らず、職場での公平性を保つ姿勢が重要です。


✅ 解雇されそうなケースの対応


従業員が差し押さえを理由に解雇されるケースは稀ですが、仮にそのような事態が起こった場合には、従業員には解雇理由証明書の請求権があります。また、労働基準監督署への相談や労働審判制度の利用も可能です。


会社としても、解雇の正当性を冷静に判断し、不当解雇にならないよう法務部門や専門家の助言を仰ぐ必要があります。


✅ 実務上の管理体制構築


差押命令への対応は、単発ではなく継続的な処理が必要な業務です。人事・経理部門での連携を図り、受領から処理・送金・報告までのフローをマニュアル化しておくと、対応ミスを防ぎやすくなります。


特に給与計算システムとの連動や、差押管理の専用担当者の設置など、体制整備を進めることが望まれます。


✅ まとめ:会社のリスクと対応ポイント


給料差し押さえは、企業にとっても他人事ではありません。正確な差押額の計算、適切な支払い処理、裁判所への報告義務、従業員との円滑なコミュニケーションなど、多くの対応が求められます。


これらを怠ると法的リスクを招くだけでなく、職場の信頼関係にも悪影響を及ぼしかねません。企業としては、迅速かつ冷静に対応し、社内体制を整備することが重要です。

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