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休職期間満了後に社員が復職できない場合、経営者が取るべき適切な対応と制度設計

  • 執筆者の写真: あいパートナーズ
    あいパートナーズ
  • 2025年8月8日
  • 読了時間: 4分

更新日:2025年9月2日

社員が病気やメンタル不調で長期休職した後、休職期間を過ぎても復職できないケースは珍しくありません。このような場合、企業は就業規則に基づいて「退職」または「解雇」とする措置を取ることになりますが、その対応を誤ると労働トラブルに発展するリスクがあるため、慎重な判断と事前準備が求められます。


休職期間

✅まずは就業規則の規定を確認・整備する


対応の前提として、企業の就業規則に「休職制度」と「休職期間満了後の扱い」について明確な定めがあるかを確認しましょう。曖昧な記載しかない、あるいはルール自体が存在しない場合は、後に法的トラブルになる可能性が高まります。


たとえば、「休職期間満了後も復職できない場合は、会社は解雇することがある」といった文言や、「休職期間終了時点で自動的に退職となる」と定めておくことが重要です。また、社員にもこのルールを周知・説明し、署名などで同意を得ておくことが望ましいです。


✅解雇とする場合の法的リスクと注意点


就業規則で「解雇」と定めている場合でも、実行にあたっては労働基準法に従って、30日前の予告または解雇予告手当の支払いが必要です。


また、病気やメンタル疾患による長期休職からの解雇は、「客観的合理性」と「社会的相当性」が問われやすく、裁判で無効とされることも多いため注意が必要です。特に、復職の可否を主治医や産業医の診断なしに決定することは避け、医学的判断をもとに「業務遂行能力の喪失」が明確になっていることが重要です。


✅退職扱いとする場合のポイントと落とし穴


就業規則に「自動退職」との規定がある場合、社員は解雇ではなく退職として扱われます。この場合は、解雇予告も手当も不要ですが、社員が復職の意思を示している場合には注意が必要です。


「復職の意志があるのに会社が一方的に退職とした」という構図になると、トラブルに発展するリスクがあります。できれば復職希望の有無を明確にヒアリングし、書面で記録しておくことが望ましいです。


✅休職後の復職判断のための正当なプロセス


復職可能かどうかを判断する際には、以下のようなステップを踏むことが推奨されます。


  • 主治医からの診断書を提出してもらう

  • 産業医との面談を実施する

  • 会社の業務内容と照らして、復職が現実的かを判断


必要に応じて、軽作業やリモートワークなどの配慮案を検討


特に「復職可能」との診断が出ている場合でも、会社として業務復帰が困難と判断する場合は、その理由を明文化し、客観的根拠を持って説明する必要があります。


✅配置転換・勤務条件の調整も重要


元の職務に復帰するのが難しい場合でも、企業側には「合理的配慮」を行う努力義務があります。たとえば、以下のような対応が考えられます。


  • より負荷の少ない業務への配置転換

  • 時短勤務や段階的な勤務時間延長の制度

  • 在宅勤務やリモートワークの導入

  • 定期的なフォロー面談の実施


こうした制度が整っていない企業は、就業規則や労務管理体制を見直す必要があります。


✅不当解雇・労使トラブルの予防策


社員が「不当に解雇された」と感じた場合、労働審判や訴訟に発展する可能性があります。トラブルを防ぐには以下の点を徹底しましょう。


  • 復職判断のプロセスと結果を記録に残す

  • 社員とのやりとりは書面または記録が残る形で実施

  • 就業規則は最新の法改正に対応させ、弁護士に確認を依頼する

  • 労務担当者や産業医と連携し、対応方針を社内で統一する


✅退職区分と労災認定の確認も忘れずに


休職満了後の退職が「自己都合」か「会社都合」かは、社員の再就職や失業給付に直結する重要な要素です。特に、復職を希望していた社員が退職に至った場合は「会社都合」とされることがあります。


また、うつ病や過労による疾病が業務に起因する場合、労災と認定される可能性もあります。これにより、企業に補償義務や追加負担が発生することもあるため、早期に事実確認と労務相談を行うことが推奨されます。


✅企業として制度設計しておくべきこと


経営者として、休職制度・復職支援制度・配置転換制度など、包括的な仕組みを整備しておくことが、将来的なトラブル防止と持続可能な経営に直結します。


【整備しておきたい制度の例】


  • 明確な休職規定と期間の上限

  • 復職プロセスと判断基準の文書化

  • 配置転換や業務軽減の選択肢を明記

  • 定期的な産業医との連携体制

  • 社内研修による管理職の対応力向上


社員の復職は、企業の対応次第で「円満な職場復帰」か「重大な労働トラブル」かに分かれます。就業規則の整備、復職支援の仕組みづくり、そして経営者自身の判断力が、企業の信頼とリスク管理に直結します。


人事・労務の問題は一人で抱えず、専門家と連携しながら、法的にも人道的にも適切な対応を目指しましょう。

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