労働基準法では、時間外・休日・深夜労働に対し、25%~60%の割増賃金が義務付けられています。
特に、労働が2暦日にわたる場合、1日の定義を明確にし、適切に計算する必要があります。企業は就業規則を考慮し、法定の割増率を守ることが重要です。適正な賃金支払いを徹底し、従業員の働きやすい環境を整えましょう。

✅休日・深夜労働の割増賃金の計算方法とは?
従業員が休日に出勤し、深夜まで労働した場合の割増賃金はどのように計算すればよいのでしょうか?特に、労働時間が2暦日にまたがる場合は注意が必要です。本記事では、労働基準法に基づく割増賃金の計算方法を解説します。
✅労働基準法が定める割増賃金の基本ルール
労働基準法では、労働者を守るために、1日の労働時間は原則8時間、1週間の労働時間は40時間以内と定められています。これを超える労働や、午後10時から午前5時までの深夜労働については、使用者に対して割増賃金の支払いが義務付けられています。
割増率の基本ルールは以下の通りです。
時間外労働(1日8時間・週40時間を超える労働):25%以上の割増
休日労働(法定休日に働いた場合):35%以上の割増
深夜労働(午後10時〜午前5時の労働):25%以上の割増
休日深夜労働(法定休日かつ深夜労働):60%以上の割増
これらの割増は重複して適用されるため、休日の深夜労働の場合は35%(休日労働)+25%(深夜労働)=60%以上の割増が必要です。
✅労働時間が2暦日にわたる場合の「1日」の考え方
割増賃金を計算する際には、「1日」の定義を明確にする必要があります。原則として、1日は午前0時から午後12時までを指します。しかし、労働の実態を考慮すると、継続した勤務は1つの労働日として扱うのが合理的です。
行政の解釈(昭和28年の通達)では、「労働時間が翌日にまたがる場合、その終業時刻までを前日の労働の延長(時間外労働)」とする考え方が一般的です。一方で、休日の概念は午前0時から午後12時までとされています。
✅割増賃金の具体的な計算例
ある企業で、従業員が日曜日の午後8時から月曜日の午前7時まで働いたケースを例に計算してみます。(※午前1時~午前2時は休憩)
日曜午後8時〜午後10時(休日労働)→ 35%の割増賃金
日曜午後10時〜午後12時(休日+深夜労働)→ 60%の割増賃金(35%+25%)
月曜午前0時〜午前5時(深夜労働)→ 25%の割増賃金
月曜午前5時〜午前7時(時間外労働)→ 25%の割増賃金
なお、企業が就業規則で「月曜日の始業時間を午前0時」としている場合、午前5時以降の労働は通常の労働時間となり、時間外割増の対象にはなりません。
✅適正な割増賃金の支払いを徹底しよう
労働基準法では、従業員の健康を守るために、適正な割増賃金の支払いが求められています。
特に、休日や深夜労働が発生した場合は、企業側が適切に計算し、法定の割増率を守ることが重要です。労働条件を明確にし、従業員が安心して働ける環境を整えましょう。
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