ある完全週休二日制(毎週土日が休日)の企業では、従業員が土曜日(法定外休日)に出勤することがあります。この場合、従業員の希望に沿って別日に振替休日を設定していますが、希望を出さない従業員もおり、振替休日が積み残されるケースが生じています。このような場合、どのように対応すべきか考えていきます。
✅振替休日と代休の違いと適切な運用
振替休日と代休は混同されがちですが、実際には異なる概念です。
振替休日とは
あらかじめ休日と定められている日を労働日に変更し、その代わりに別の労働日を休日とすることです。たとえば、土曜日を労働日に変更し、別の平日を休日にする場合、変更後の土曜日は通常の労働日扱いとなり、休日労働には該当しません。つまり、割増賃金も発生しません。
代休とは
休日に労働が行われた場合に後日休みを与えるもので、すでに休日労働が発生しているため、当該日の労働は休日労働扱いになります。したがって、休日労働に該当する割増賃金が必要です。
今回のケースのように、事前に振替日が特定されていない場合は、振替休日ではなく代休として処理します。
✅所定休日と法定休日の違いと労務管理
労働基準法第35条では、企業は労働者に対して「毎週少なくとも1日の休日を与える義務」があります。この休日が法定休日に当たります。
完全週休二日制の企業の場合、通常の週休日は2日であり、そのうち1日は法定休日、もう1日は法定外休日と定義されます。この法定外休日に出勤する場合、労基法上の休日労働には該当せず、あくまで時間外労働として扱います。今回の場合も、1週に1日の法定休日が確保されているため、休日規制に問題はありません。
✅代休取得の有効期限とルール策定
法定外休日に労働した場合、同一週内で代休または振替休日を取得することが推奨されます。たとえば、1日の所定労働時間が8時間とした場合、週の労働日数が6日になると、労働時間が8時間×6日=48時間に達し、週40時間を超える8時間分は時間外労働となります。
代休取得には法的な有効期限は定められていませんが、長期間代休を取得しないまま放置されると、労働時間管理や年次有給休暇とのバランスに問題が生じる場合があります。たとえば、1年以上代休を未取得のままとしてしまうと、年次有給休暇の取得が優先されるべきか判断に困る事例もあります。さらに、時間外労働の上限規制に抵触する可能性もあるため、適切な労働時間管理が必要です。
このため、代休の有効期限を「1カ月以内」などと就業規則で明確に定め、計画的な代休取得を促すルールを作成することが重要です。
休日の振替問題に関する手続きや対応についてお悩みの方は、ぜひ弊所にご相談ください。
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