今年6月から始まっている定額減税に関して、企業の給与処理が問題視されています。特に、労働基準法違反の可能性について、企業側から多くの懸念が寄せられています。本記事では、労労働基準法違反の恐れ、定額減税の影響と企業への影響について詳しく解説します。
✅労働基準法違反の恐れ、定額減税の影響と企業への影響
(1)定額減税とは何か?
定額減税は、岸田総理が指示し、1人あたり所得税が3万円、住民税が1万円減税される制度です。これにより、従業員の手取り収入が増加することが期待されています。しかし、この減税を適切に給与に反映させるためには、企業の給与システムや事務処理の見直しが必要です。
(2)林官房長官の発言とその影響
5月29日の記者会見で、林芳正官房長官は「6月の給与から定額減税を反映しない場合、労働基準法に違反する可能性がある」と述べました。この発言は企業に大きな波紋を広げました。林長官は、違反が認められた場合、まずは労働基準監督機関が是正指導を行い、企業による自主的改善を図ると説明しました。
(3)労働基準法24条「賃金全額払いの原則」とは?
労働基準法第24条には「賃金全額払いの原則」が定められています。これは、賃金は通貨で、直接労働者に全額を支払わなければならないという規定です。ただし、法令による「別段の定め」がある場合には、賃金の一部を控除して支払うことができます。
例えば、所得税の源泉徴収はこの「別段の定め」に該当します。しかし、定額減税が実施される場合、源泉徴収額が減るため、これを反映せずに所得税を控除して給与を支払った場合、本来控除してはいけない額が給与から引かれてしまいます。結果として、賃金全額払いの原則に違反することになります。
(4)企業の懸念と実務上の課題
多くの企業は、定額減税に伴う給与システムの改修や事務処理の負担増に対して懸念を抱いています。特に、小規模な企業や事務担当者が少ない企業では、この対応が大きな負担となります。
以下は、企業からの主な懸念の声です:
給与処理が間に合わない:6月からの定額減税に対応するための準備が十分にできていない企業が多く、特にシステム改修が間に合わないという声が上がっています。
年末調整で一括処理を希望:一部の企業は、年末調整で一括して減税を反映させたいと考えていますが、これは認められていません。労働基準法24条に基づく全額払いの原則に反するためです。
給与明細への記載:定額減税額を給与明細に記載することが義務付けられており、これが事務手続きの負担となっています。
✅専門家の支援が不可欠
定額減税に関する問題は、企業にとって非常に複雑であり、法律や制度に関する深い理解が求められます。労働基準法違反のリスクを避けるためには、迅速かつ適切な対応が必要です。しかし、これを自力で対応することは難しく、専門家の支援が不可欠です。
もし、今回の定額減税に関する対応に不安がある場合は、当事務所に相談することを強くお勧めします。専門家のアドバイスを受けることで、適切な対応を行い、法令違反のリスクを回避することができます。
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