仕事中のケガが「業務上災害」として認められるかどうかは、働く人にとって重要な問題です。特に、他人の仕事を手伝っているときに起きた事故は、原則的に認められないケースが多いですが、例外もあります。本記事では、過去の具体的な判例をもとに解説します。

✅業務上災害が認められる条件とは?
仕事中のケガが業務上災害として認められるには、以下の2つがポイントとなります。
業務遂行性:事故が労働者が雇用主の指揮下にある状況で発生していること。つまり、仕事中の行動である必要があります。
業務起因性:事故やケガが仕事そのものや業務環境が原因で起きたものであること。
☞判例1:顔見知りの作業を手伝った修理工の事故(昭和23年6月24日)
ある修理工が、普段世話になっている他社の労働者の作業を手伝っていた際に、4トンの重量物が落下する事故に遭い、それを避けようとした結果、トラックの木枠にぶつかって死亡しました。このケースでは、「他人の業務」であり、修理工自身の業務とは関係がなかったため、業務上災害とは認められませんでした。
ポイント:自分の業務とは無関係な他人の作業を手伝っていた場合は、原則として「業務遂行性」が認められないため、業務上災害に該当しない。
☞判例2:車検場での作業を手伝った事務員の事故(昭和32年9月17日)
事務員が車検場に同行した際、検査官がストーブの煙突を取り外すのに苦労しているのを見て、自発的に作業を手伝いました。その後、木に登って作業中に枝が折れて転落し、死亡する事故が発生。このケースも「自分の業務ではない行為」と判断され、業務上災害とは認められませんでした。
ポイント:自発的に他人の作業を手伝った場合、たとえ現場にいただけでも「業務遂行性」は認められない。
☞判例3:業務遂行性が認められた例(昭和30年1月4日)
ある飯場(作業員の宿泊所)の責任者が、翌朝使用する食料品を取りに行くために移動中、川に転落して死亡した事故では、同行した労働者の行動が業務に必要不可欠なものであると判断されました。このため、業務上災害として認められています。
ポイント:仕事に必要な行為であり、かつ客観的に業務と関連がある場合は「業務遂行性」が認められる。
☞判例4:事業主の命令による作業中の事故(昭和31年3月31日)
事業主の特命で本来の業務外の作業に従事していた労働者が事故に遭った場合、業務上災害と判断されることがあります。具体的には、命令が「当然行うべき業務の範囲内」と認められる場合に限られます。
✅他人の業務を手伝った際の災害が認められるかのまとめ
過去の判例を見ると、他人の仕事を手伝う行為は基本的に業務上災害とは認められません。しかし、以下の条件を満たす場合は例外として認められる可能性があります。
他人の作業が、自分の業務にとって必要不可欠である場合。
事業主の指示に基づく作業である場合(ただし業務と無関係な場合は除く)。
具体的な状況や行動が業務とどう関連しているのかをしっかり確認し、判断する必要があります。
✅まとめ
「業務上災害」と認められるかは、仕事中の行動が会社の業務とどれだけ関係しているかによります。過去の判例を参考に、自分の行動が業務にどう影響するかを考えることが大切です。万が一事故が起きた際には、専門家に相談することをおすすめします。
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