労働者代表への意見聴取

d772901d0bb54ce5eee32ddc196b1245
労働基準法によれば就業規則を作成する場合や変更する場合には、労働者を代表する者への意見を聴かなければならないと規定されています。(労働基準法第90条)
「労働者を代表する者」とは労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、労働組合がない場合や労働組合があってもその組合員の数が労働者の過半数を占めていない場合には、労働者の過半数を代表する者のことです。
「労働者の過半数を代表する者」とはその事業場の労働者全員の意思に基づいて選出された代表をいいます。「労働者の過半数を代表する者」の選出に当たっては、次のいずれにも該当する必要があります。

1 労働基準法第41条第2号に規定する監督または管理の地位にある者(管理監督者)でないこと
2 「36協定を締結する者を選出する」や「就業規則の意見書を提出する者を選出する」などの目的を明らかにしたうえで実施される投票、挙手等の方法による手続きを経て選出された者であること
1 投票による過半数の労働者の支持を得た者を選出する方法
2 挙手による過半数の労働者の支持を得た者を選出する方法
3 候補者を決めておいて投票、挙手または回覧によって信任を求め、過半数の支持を得た者を選出する方法
4 各職場ごとに職場の代表者を選出し、これらの者の過半数の支持を得た者を選出する方法

ただし、次のような選出方法は認められません。
1 使用者が一方的に指名する方法
2 親睦会の代表者を自動的に労働者代表とする方法
3 一定の役職者を自動的に労働者代表とする方法
4 一定の範囲の役職者が互選により労働者代表を選出する方法
また、事業場全体の労働条件などについて管理する立場にある者(労務部長、労務課長など)は、労働者代表としての適格性を有しませんので注意してください。
意見を聴くとは合意や同意まで求めるもではなくたとえ反対意見であったとしても、事業主はその意見に拘束されることはありません。またその反対意見によって就業規則の効果に影響を及ぼすものでもありません。

 そのため反対意見がある就業規則でも労働基準監督署に提出すればそれで効力が生じることになります。しかし労働者に不信感を植え付けてしまい結果モチベーションが下がってしまうことになりかねません。

労働条件は、労使対等の立場で決定するのが原則ですので、あくまでも一方的に決めようとするのではなく、労働者代表の意見については、できる限り尊重することが望ましいといえます。