就業規則の効力の発生時点は就業規則を労働基準監督署に届け出た時ではなく、就業規則を労働者に周知した時です。
つまり労働基準監督署に就業規則を届け出なくても従業員に周知さえしていれば、就業規則の効力自体は有効となります。ただし、就業規則の周知義務違反に問われることになります。
就業規則の効力発生時期

就業規則の効力発生時期に関する判例
会社側が労働基準法第106条第1項所定の爾後の周知方法を欠いていたとしても、既に従業員側にその意見を求めるため提示され、その意見書が附されて届け出られたものであるから、就業規則自体の効力を否定する理由とはならないとした。(朝日新聞社小倉支店事件 昭和27年最高裁大法廷判決) 就業規則における懲戒解雇された者には退職金を支給しないとする定めの新設について、適法な意見聴取が行われた上で届けられたものともいえず、一般的に従業員に周知した事実が認められないことから、その効力が生ずるものではないとした(日本コンベンションサービス事件 平成10年大阪高裁判決)。 賞与は「支給時点の在籍者に対し支給する」旨定めた賃金規則が、労働基準法106条1項所定の爾後の周知方法を欠いているとしても、それを理由に就業規則及び賃金規則が無効であるということはできないとした(須賀工業事件 平成12年東京地裁判決)。 会社と労働組合で組織される経営協議会の決定事項が就業規則として認められるかについて、少なくとも労働基準法第106条第1項の定める方法と同視し得るような周知方法が採られない限り、就業規則としての効力は認められないとした(日本ニューホランド事件 平成13年札幌地裁判決)。 労働基準監督署に対する就業規則の届出は、就業規則の効力発生要件ではなく、使用者が就業規則を作成し、従業員一般にその存在及び内容を周知させるに足る相当な方法を講じれば、関係当事者を一般的に拘束する効力を生じるとした(NTT西日本事件 平成13年京都地裁判決)。 就業規則が法的規範としての性質を有するものとして、拘束力を生ずるためには、その内容の適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていることを要するとした(フジ興産事件 平成15年最高裁第二小法廷判決)。 |