労働基準法は、労働者に休憩時間を除き1週について40時間を超えて労働させてはならない(労働基準法第32条第1項)、使用者は1週の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて労働させてはならない(同条第2項)と書かれています。
この労働時間については、最高裁で労働者が使用者の指揮命令下に置かれた時間をいい、右の労働時間に該当するかは否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではないと解されています(三菱重工長崎造船所事件 最高裁判例より)
労働者が業務の遂行上必要な準備を事業場内で行うことを使用者側から命じられた場合、この行為は使用者の指揮命令下に置かれたものとして評価されて、この準備に要した時間は労働時間となります。
着替えやラジオ体操を労働時間とみるべきか否かは、上記判例に照らしてみれば、作業服の着用が災害防止上の見地、また使用者において作業能率の向上、職場秩序維持など経営管理上の見地から義務付けられた場合には、業務開始の準備行為として労働時間にあたるものと考えられます。ラジオ体操についても、同様に考えるべきでしょうが、始業前10分間のラジオ体操について「参加は従業員に強く奨励されていたが、義務付けられていたということはできない」として、労働時間として認めなかった判例(昭58.8.25、大阪地裁、住友電気工業事件)もあります。
法定労働時間(労働基準法32条)
- 労働条件の原則(労働基準法1条)
- 均等待遇(労働基準法3条)
- 男女同一賃金の原則(労働基準法4条)
- 強制労働の禁止(労働基準法5条)
- 中間搾取の排除(労働基準法6条)
- 公民権行使の保障(労働基準法7条)
- 労働者の定義(労働基準法9条)
- 賃金の定義(労働基準法11条)
- 平均賃金(労働基準法12条)
- 労働基準法違反の契約(労働基準法13条)
- 労働契約の期間(労働基準法14条)
- 労働条件の明示(労働基準法15条)
- 賠償予定の禁止(労働基準法16条)
- 強制貯金の禁止(労働基準法18条)
- 解雇制限(労働基準法19条)
- 解雇予告手当(労働基準法20条、21条)
- 退職時の証明(労働基準法22条)
- 金品の返還(労働基準法23条)
- 賃金支払いの5原則(労働基準法24条)
- 非常時払い(労働基準法25条)
- 出来高払制の保障給(労働基準法27条)
- 最低賃金(労働基準法28条)
- 法定労働時間(労働基準法32条)
- フレックスタイム制(労働基準法32条の3)
- 休憩時間(労働基準法第34条)
- 時間計算(労働基準法38条)
- 最低年齢(労働基準法56条)
- 労働時間等に関する規定の適用除外(労働基準法41条)
- 年少者の証明書(労働基準法57条)
- 未成年者の労働契約(労働基準法58条)
- 労働基準法 法令等の周知義務(労働基準法106条)