最低賃金(労働基準法28条)

賃金の最低基準に関しては、最低賃金法の定めるところによります。

最低賃金は、国が賃金の最低限度を定めるものであり、使用者は、最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければなりません。その額に達しない賃金額で労働契約をしてもその部分は無効となります。

最低賃金には、地域別最低賃金と産業別最低賃金があります。地域別最低賃金は、各都道府県ごとにすべての労働者および使用者に適用されます。また産業別最低賃金は、各都道府県ごとに特定の産業に従事する労働者および使用者に適用されます。

産業別最低賃金が適用される場合には同時に地域別最低賃金も適用されることになります。この場合は高い方の最低賃金が最低賃金額になり、その額以上の賃金を支払う必要があります。

最低賃金法とは

最低賃金法とは、賃金の低廉な労働者について、事業若しくは職業の種類又は地域に応じ、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もって、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的として制定された法律である。

最低賃金は、原則として事業場で働く常用・臨時・パート・アルバイトなど雇用形態や呼称の如何を問わずすべての労働者とその使用者に適用されます。
しかし、一般の労働者と労働能力などが異なるため最低賃金を一律に適用すると、かえって雇用機会を狭める可能性がある労働者については、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件として個別に最低賃金の適用除外が認められています。
1 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者
2 試の使用期間中の者
3 職業能力開発促進法に基づく認定職業訓練を受ける者のうち一定のもの
4 所定労働時間の特に短い者、軽易な業務に従事する者、断続的労働に従事する者

最低賃金の対象となる賃金は、通常の労働時間、労働日に対応する賃金に限られます。 具体的には、実際に支払われる賃金から次の賃金を除外したものが最低賃金の対象になります。

1 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
2 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
3 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
4 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
5 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
6 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当