【働き方改革】働き方改革関連法 中小企業の半数超が「準備未対応」

日本商工会議所から、「働き方改革関連法への準備状況等に関する調査」の集計結果が公表されました。この調査は、全国の中小企業2,881を対象に、本年(2019年)4月から順次施行される「働き方改革関連法」に関する中小企業の認知度や準備状況、更には政府が検討している高齢者雇用の促進策に関する中小企業の現状や課題を把握することで、今後の政策提言・要望活動に活かすために行われたものです。

これによると、昨年(2018年)の10月末頃~12月初旬の時点で、「時間外労働の上限規制」、「年次有給休暇の取得義務化(時季指定義務)」、「同一労働同一賃金」ともに、「対応済・対応の目途が付いている」企業の割合は半数に満たないということです。つまり、半数を超える中小企業が未対応ということになります。
日本商工会議所では、「働き方改革関連法の認知度は、従業員規模が小さくなるにつれて低下することから、中小企業における認知度に課題がある」とし、「本年4月に施行が迫った「年次有給休暇の取得義務化(時季指定義務)」をはじめ、法律の更なる周知が求められる」としています。

■調査概要
1.調査地域:全国47都道府県
2.調査対象:中小企業2,881社
3.調査期間:2018年10月22日~12月3日
4.調査方法:各地商工会議所職員による訪問調査
5.回収商工会議所数:413商工会議所(回収率:80.2%)
6.回答企業数:2,045社(回答率:71.0%)
7.調査の目的
(1)2019年4月から順次施行される「働き方改革関連法」について、中小企業の認知度や準備状況を把握することで、説明会・セミナー等周知に関する取り組みや政策提言・要望活動に活かすため。
(2)政府が検討している高齢者雇用の促進策について、中小企業の現状や課題を把握することで、今後の政策提言・要望活動に活かすため。
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【出典:日本・東京商工会議所 「働き方改革関連法への準備状況等に関する調査」 集計結果】
○法律の内容について「知らない」と回答した企業は、「時間外労働の上限規制」が39.3%、「年次有給休暇の取得義務化」が24.3%、「同一労働同一賃金」が47.8%を占める。

○施行時期について「知らない」と回答した企業は、「時間外労働の上限規制」が33.7%、「年次有給休暇の取得義務化」が23.5%、「同一労働同一賃金」が49.6%を占める。

○これらの認知度は、従業員規模が小さくなるにつれて低下することから、中小企業における認知度に課題がある。

○本年4月に施行が迫った「年次有給休暇の取得義務化」をはじめ、法律の更なる周知が求められる。
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【出典:日本・東京商工会議所 「働き方改革関連法への準備状況等に関する調査」 集計結果】
○「時間外労働の上限規制」、「年次有給休暇の取得義務化」、「同一労働同一賃金」ともに、「対応済・対応の目途が付いている」企業の割合は半数に満たない。

○各企業における準備の促進に向け、窓口相談や専門家派遣など、働き方改革推進支援センターや各都道府県労働局が実施している支援策をより一層積極的、且つきめ細かく実施していくことが求められる。
○「時間外労働の上限規制」、「年次有給休暇の取得義務化」への対応にあたっての課題は、「人手不足」や「業務の繁閑」に関する項目が上位を占め、「取引先からの短納期要請や急な仕様変更等への対応」も多く挙げられている。

○一方、「同一労働同一賃金」の導入に向けた課題は、「増加した人件費を価格転嫁できない」が35.9%で最も多く、次いで「同一労働同一賃金の内容が分かりづらい」が33.3%挙げられている。

○こうした状況を踏まえると、人手不足対策(女性・高齢者等多様な人材の活躍推進、外国人材の受入れ、生産性向上支援等)、下請取引適正化対策の強化や、「同一労働同一賃金」に関する丁寧な周知が求められる。
○65歳超の者を雇用している企業の割合は、2016年調査の70.1%から、2018年(今回)調査では73.7%と3.6ポイント増加したことから、中小企業において高齢者雇用が一層進んでいる実態がうかがえる。

○継続雇用年齢の65歳超への義務化に「反対」する企業の割合は、2016年調査の57.2%から、2018年(今回)調査では50.5%と6.7ポイント減少したものの、過半数を上回っている。