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職務怠慢の正しい処分方法と就業規則の作り方【社労士が解説】

  • 執筆者の写真: あいパートナーズ
    あいパートナーズ
  • 9月2日
  • 読了時間: 4分

職務怠慢が続く社員への対応は、企業にとって放置できない重要課題です。しかし感情的な処分や曖昧なルール運用は、労務トラブルを招く危険があります。就業規則に明確な根拠を設け、段階的かつ適正な手続きを踏むことが不可欠です。


本記事では、職務怠慢の定義、処分の流れ、就業規則の整備方法、そして社労士に依頼するメリットをわかりやすく解説します。


職務怠慢

✅職務怠慢とは何か


職務怠慢(職務懈怠)とは、労働者が与えられた職務を適切に遂行せず、業務や職場秩序に支障をきたす状態を指します。典型例としては、無断欠勤や度重なる遅刻、許可のない離席、業務指示の無視、故意の業務放置などが挙げられます。


重要なのは、一時的なミスや単発の遅刻ではなく、継続的かつ改善が見られない行動が問題視される点です。


✅就業規則での明文化の重要性


職務怠慢を理由に処分を行うには、その行為が就業規則に明記されている必要があります。懲戒処分の有効性は「事前に周知されているか」に大きく依存します。


例えば、「職務懈怠または業務命令違反があった場合は懲戒の対象とする」と記載し、その具体例を列挙しておくことで、社員は何が処分対象になるのかを明確に理解できます。これにより、後の紛争予防にもつながります。


✅処分の段階的運用


懲戒処分は、軽いものから重いものへと段階的に適用するのが原則です。


初期段階では、口頭注意や書面での指導、配置転換などを行い、それでも改善が見られない場合に譴責や減給、出勤停止などへ移行します。


最終的な手段として懲戒解雇が検討されますが、その適用は極めて慎重でなければなりません。処分の重さは、違反の内容・回数・業務への影響などを総合的に考慮して判断します。


✅普通解雇と懲戒解雇の違い


職務怠慢が続く場合、普通解雇か懲戒解雇のいずれかが検討されます。


普通解雇は能力不足や勤務態度不良を理由とする解雇で、退職金は通常支払われます。一方、懲戒解雇は最も重い懲戒処分で、退職金不支給や即時解雇となるケースが多く、労働者の社会的信用に大きく影響します。


どちらも労働契約法第16条に基づく「客観的合理性」と「社会通念上の相当性」が求められます。


✅証拠と手続きの確保


処分の正当性を確保するためには、職務怠慢の事実を客観的に証明できる記録が不可欠です。遅刻や欠勤の回数、業務指示違反の内容、注意・指導の履歴を記録し、本人に改善を求めた証跡を残します。


また、懲戒処分前には必ず本人に弁明の機会を与え、就業規則に定めた手順に沿って決定します。このプロセスを怠ると、後に不当解雇として争われる可能性があります。


✅社労士に依頼するメリット


社会保険労務士は、就業規則の作成・改定、懲戒処分の運用助言、証拠の整備方法まで総合的にサポートします。特に懲戒解雇はリスクが高く、法的な要件を満たしていないと無効とされることもあります。


社労士を活用することで、企業は処分基準を明確化し、訴訟リスクを大幅に低減できます。また、第三者としての専門的視点から、経営者が見落としがちな改善指導の方法や記録の残し方を提案してくれます。


✅就業規則整備のポイント


  1. 懲戒事由を具体的かつ網羅的に記載する

  2. 処分の種類と内容を明確に区分する

  3. 運用手順と社員への周知方法を定める

  4. 定期的な見直しで法改正や実態に対応する


これらを実行すれば、処分の根拠が強化され、社員も自らの行動指針を理解しやすくなります。


✅まとめ


職務怠慢への対応は、感情や印象ではなく、明文化されたルールと記録に基づいて行うことが大切です。就業規則に具体的な懲戒事由を定め、段階的な処分を適正手続きで進めれば、企業は不当解雇のリスクを避けつつ職場の秩序を保つことができます。社労士を活用することで、この一連の流れを法的に安全かつ効率的に進めることが可能になります。

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