コラム

2018年2月10日|カテゴリー「コラム
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平成25年4月1日に改正労働契約法が施行され、無期転換ルールが規定されました。

無期転換ルールとは、同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が更新されて通算5年を超えたときに、労働者の申込みによって無期労働契約に転換されるルールのことです。

施行から5年を迎える平成30年4月以降、多くの有期契約労働者の方へ無期転換申込権の発生が見込まれています。

無期転換ルールへの対応にあたっては、中長期的な人事労務管理の観点から、無期転換労働者の役割や責任の範囲、就業規則等の整備など、様々な検討が必要であり、まだ準備が進んでいない企業においては、早期に検討・対応が必要です。

労働契約法の改正について

有期労働契約(※)の反復更新の下で生じる雇止めに対する不安を解消し、働く方が安心して働き続けることができるようにするため、労働契約法が改正され、有期労働契約の適正な利用のためのルールが整備されました。

※有期労働契約
1年契約、6か月契約など契約期間の定めのある労働契約のことをいいます。
 有期労働契約であれば、パート、アルバイト、契約社員、嘱託など職場での呼称にかかわらず、対象となります。
・無期転換ルールの概要
 無期転換ルールは、同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合、有期契約労働者(契約社員、パートタイマー、アルバイトなど)からの申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるルールのことです。

 契約期間が1年の場合、5回目の更新後の1年間に、契約期間が3年の場合、1回目の更新後の3年間に無期転換の申込権が発生します。
 有期契約労働者が使用者(企業)に対して無期転換の申込みをした場合、無期労働契約が成立します。したがって、使用者は断ることができません。
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空白期間 有期労働契約とその次の有期労働契約の間に、契約がない期間が6か月以上あるときは、その空白期間より前の有期労働契約は通算契約期間に含めません。これをクーリングといいます。
 
上図の場合のほか、通算対象の契約期間が1年未満の場合は、その2分の1以上の空白期間があればそれ以前の有期労働契約は通算契約期間に含めません。

無期転換ルールの特例

有期雇用特別措置法により、
① 専門的知識等を有する有期雇用労働者(以下「高度専門職」といいます。)と、
② 定年に達した後引き続いて雇用される有期雇用労働者(以下「継続雇用の高齢者」といいます。)
について、その特性に応じた雇用管理に関する特別の措置が講じられる場合に、無期転換申込権発生までの期間に関する特例が適用されることとなりました。この特例は、都道府県労働局長の認定を受けることで、無期転換申込権が発生しないとするものです。(①の場合の期限の上限は10年)

認定を受けるためには、本社を管轄する都道府県労働局に対し申請を行う必要があり、申請後、都道府県労働局において審査を行うため、申請から認定を受けるまでには一定期間を要します。また、審査の際に追加で資料提出が必要になる場合には、さらに時間がかかります。

 現在、この特例に係る申請が全国的に増加しており、特に、管内に本社の多い東京、埼玉、千葉、神奈川、静岡、愛知、大阪、福岡労働局においては申請が急増していることから、認定を受けるまでには通常よりも時間がかかる場合があります。 このため、平成30年2月以降の申請については、認定が平成30年4月以降になる場合があるので、特例の適用をご希望で申請がまだの方は早急の申請が必要です。

この改正は2013年4月に施行されましたが、実質的に該当者が現れるのは施行から5年が経過する2018年4月以降になります。そのため、使用者、労働者ともに大きな転換の年となり、さまざまな問題も考えられることから「2018年問題」と呼ばれています。

無期転換対策は当事務所にお任せください。

当事務所は無期転換規程の作成や有期雇用特別措置法による書類の作成など無期転換に関する問題について対策を行っています。
お気軽にお問合せ下さい。
2017年12月8日|カテゴリー「コラム
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中小企業・小規模事業者の人手不足は全業種にわたって深刻化しており、経営上の不安要素としても年々大きくなっています。根本にあるのは、少子高齢化で生産年齢人口が減少しているという問題です。

中小企業は大企業よりも離職率が高く、建設、サービス(介護・看護)、宿泊・飲食といった人手不足感の強い業種では離職率も比較的高い状況です。中小企業は一定のキャリアを積んだ即戦力ミドルや新卒を求めているものの、新卒の大企業志向や大企業との賃金格差、高い離職傾向など、中小企業・小規模事業者をめぐる状況はより一層厳しい状況となっています。

そこで、多様な働き手が活躍できる職場づくりや、ITや設備の導入による生産性の向上により、人手不足を乗り越えている好事例からポイントとなる考え方を抽出し、人手不足対応のガイドラインとして取りまとめています。

具体的には、(1)経営課題や業務を見つめ直す、(2)業務に対する生産性や求人像を見つめ直す、(3)働き手の目線に立って人材募集や職場環境を見つめ直す、という3つのステップを提唱しています。

100を超える好事例は、業種別、経営課題別等に整理して分類されており、また、ガイドラインに沿った取り組みに役立つ支援策も紹介しています。

重要な3つのステップ

女性、高齢者、外国人等の多様な人材に視野を広げ、働き手の立場に立った職場環境整備等を進め、人材を掘り起こすことや、ITや設備の導入、人材育成等により労働生産性を向上させていくことが重要となります。ガイドラインでは、次の3つのステップが重要と説明しています。

ステップ1:経営課題や業務を見つめ直す
自社のニーズ・課題に遡って捉えることで、経営課題についての解決の方向性・優先度を再認識します。出発点として、人材確保の経営課題上の意味・目的を明確化した上で、人手が不足している業務を見つめ直します。この際に、固定観念を払拭することが重要です。

ステップ2:求人像や生産性を見つめ直す
IT・設備の導入やラインの組み替え、レイアウトの変更、アウトソース等の業務改革により生産性を高めること、ムリ(設備や人への過負担)・ムダ(原価を高める要素)・ムラ(仕事量・負荷のバラつき)の削減や標準化が業務に対する生産性改善となります。業務の見直しと合わせて、主婦層やシニア層といった求人像の幅を広げることが重要です。

ステップ3:働き手の目線で、人材募集や職場環境を見つめ直す
働き手の目線に立って、採用・自社PRを見つめ直します。このためには、ターゲットに対するメッセージがリアルで明確であることが重要となります。さらに、女性(主婦等)や高齢者、外国人といった働き手の制約が何かを考え、その対応策を講じることが重要です。
2017年11月26日|カテゴリー「コラム
経済産業省が発表した「中小企業の雇用状況に関する調査」の結果(有効回答数8310社)によると、正社員の1人当たり平均賃金の引上げについて、「引き上げる/引き上げた」と回答した企業の割合は、平成28年度は59.0%、平成29年度は66.1%となっています。賃金の引上げ方法として月例給与の引上げを実施した企業の割合は、平成28年度が91.3%、平成29年度は92.0%でした。

平均賃金を「引き上げる/引き上げた」と回答した企業の理由で最も多かったのは「人材の採用・従業員の引き留めの必要性」で、平成28年度は45.5%、平成29年度は49.2%です。なお、平均賃金を「引き上げない/引き上げていない」とした企業の理由は、平成28、29年度ともに「業績回復・向上が不十分」が最多で、賃上げを実施していない企業では、業績が低迷していることが賃上げを妨げている状況がうかがえます。
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非正規雇用の労働者の賃金の状況については、「賃金引上げを実施した/実施する予定」と回答した企業の割合は、平成28年度は32.9%、平成29年度は36.5%となっています。
非正規雇用の労働者の1人当たり平均賃金を「引き上げる/引き上げた」と回答した企業の理由としては、「人材の採用・従業員の引き留めの必要性」(29年度47.0%)や、「最低賃金引上げのため」(同38.3%)とした企業が多数でした。

一方、人員計画については、「人手不足・人材不足」を感じていると回答した割合は、合計で66.4%。人手不足・人材不足と回答した企業のうち、74.5%が「正社員の非管理職」、29.1%が「管理職」が不足と回答。「人手不足・人材不足」を感じていると回答した企業のうち、正社員・非正社員の直近1年の採用活動の結果、「採用できている」と回答した企業は、正社員が50.2%、非正社員が33.3%にとどまっています。

時間外労働の新たな上限規制については、本調査以前から「内容含め知っていた」との回答割合は47.1%。また、その対応について、「対応できる見込み」との回答割合は33.8%であり、その理由として、「業務プロセスの改善」により対応できるとした企業が最も多く、47.5%となっています。一方で、「対応が困難な見込み」とした企業は17.0%で、その理由として、「人員不足」を挙げた企業が最も多く、61.2%でした。
2017年11月25日|カテゴリー「コラム
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平成29年6月30日に「特定商取引に関する法律施行令の一部を改正する政令」及び「特定商取引に関する法律施行規則の一部を改正する命令」が公布されました。「改正特定商取引法(平成28年6月3日公布)」は平成29年12月1日より施行となります。この特定商取引法の改正は、通信販売についての「FAXによるDM」に対する規制や、テレマーケティングにおける過量販売規制など、新しい規制を設ける重要な内容を含んでいます。

平成28年の特定商取引法改正の概要

特定商取引法の平成28年改正の内容のうち、特におさえておきたいポイントは以下の通りです。
「過量販売規制」とは、日常生活に通常必要な量を著しく超える商品等を購入した消費者から、購入から1年以内に購入の撤回を申し込まれた時は、これに応じて商品代金返還等の措置をとらなければならないという規制です。
さらに、正当な理由なく過量販売を勧誘する行為は行政処分の対象にもなります。この過量販売規制は、訪問販売については従来から規制がありましたが、今回、電話勧誘販売(いわゆる、テレマーケティング)についても同様の規制が設けられました。

「過量販売」とは、日常生活に通常必要な量を著しく超える商品等を販売することを言いますが、具体的には以下の3つのケースがあります。

1:1回の販売が過量のケース
1回の販売量が、消費者にとって日常生活に通常必要な量を著しく超える場合。例えば、寝具を4か月で6回販売するケースがこれにあたる可能性があります。

2:過去の購入と今回の購入をあわせると過量の販売となるケース
過去の購入量と今回の購入量をあわせると、消費者にとって日常生活に通常必要な量を著しく超える場合です。ただし、その消費者の過去の購入について販売会社が知っていた場合のみが対象となります。

3:過去の購入ですでに過量の販売になっているのに、同種の商品を販売するケース
過去の購入によりすでに消費者にとって日常生活に通常必要な量を著しく超えているのに、さらに同種の商品を販売する場合です。ただし、その消費者の過去の購入について販売会社が知っていた場合のみが対象となります。

このうち、「2」と「3」は、「次々販売」とも言われます。「次々販売」の場合は、販売会社が、その消費者の過去の購入について知っていることが、過量販売規制適用の条件となります。

購入の撤回を申し込まれた場合の販売会社の対応として、以下の2点が義務付けられています。

1:代金の返還
購入の撤回を申し込まれた場合、販売会社は代金を返還しなければなりません。使用済みの商品についても代金全額の返還が義務付けられています。

2:未使用商品を引き取る場合の返還費用の負担
消費者において未使用の商品が残っている場合は、消費者に返還を求めることができますが、返還の費用(送料等)は販売会社が負担する必要があります。

従来は訪問販売についてのみ、「過量販売規制」が設けられていましたが、今回の改正で、電話勧誘販売(いわゆる、テレマーケティング)についても、「過量販売規制」の対象となることになりました。電話勧誘販売とは、販売会社から電話をかけて、商品等の購入をすすめて、郵便やFAXなどにより購入申し込みを受ける販売方法を指しています。さらに、以下のようなケースではポスティングやネット通販でも「電話勧誘販売」に該当し、「過量販売規制」の対象となります。

1:ポスティングでも「電話勧誘販売」に該当し、「過量販売規制」の対象となるケース
他の消費者より著しく有利な条件で購入できることを記載したビラやパンフレットを配布して、消費者から電話をかけさせて販売するケースは「過量販売規制」の対象となります。

2:ネット通販でも「電話勧誘販売」に該当し、「過量販売規制」の対象となるケース
他の消費者より著しく有利な条件で購入できることをWebサイトに記載し、消費者から電話をかけさせて販売するケースは「過量販売規制」の対象となります。
これまで、FAXによる広告、FAXによるDMについては、特段の法規制がなく自由でした。しかし、今回の特定商取引法改正で通信販売の場合に以下の規制が設けられました。

規制1:
FAX送信先からの請求または承諾なく、通信販売に関するFAX広告を送ることが禁止されました。

規制2:
送信先からの請求又は承諾により通信販売に関するFAX広告をする場合は、送信先からの請求又は承諾の事実についての記録を作成、保存することが義務付けられました。

規制3:
通信販売に関するFAX広告をする際は、送信先がFAX広告の提供を受けない旨の意思表示をする手段についての表示が義務付けられました。

これらの規制に違反して通信販売に関するFAX広告を送信した場合、行政庁から「指示処分」あるいは2年以内の「業務停止処分」を科されることがあります。なお、ここでいう「通信販売」とは、消費者から郵便や電話、インターネット等によって購入の申し込みを受け、商品を販売したりサービスを提供したりするものです。
また、これは【対消費者】(BtoC)についての規制であり、個人宅への送信を禁止しているものです。【対事業者】(BtoB)に営業活動を行う事業者については規制をしていません。
特定商取引法に違反した販売会社に対しては、国や都道府県が指示処分という処分を行うことができます。この指示処分を受けた販売会社については、これまでは特に悪質なケースだけが消費者庁のwebサイトなどで公表されていました。しかし、特定商取引法の改正により、公表制度が強化され、指示処分を受けた販売会社は一律、消費者庁のwebサイトなどで公表されることが決まりました。
2017年11月19日|カテゴリー「コラム

厚労省がアプリを次々と公開

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このところ、厚生労働省による無料のスマートフォン向けアプリのリリースが相次いでいます。

例えば今年3月には、国民年金基金連合会と共同でiDeCo(個人型確定拠出年金)の資産運用体験ができるアプリを公開しました。同じく10月には、公的年金に関する基礎知識や、最寄りの年金事務所等を調べることができるアプリを公開しています。

若者を中心に急増しているスマートフォンユーザーに対し、政策の普及と促進を図る意図があるものと思われます。

労働条件アプリの内容

そしてこのたび公開されたのが、学生や就労経験の浅い若者向けに、労働トラブルに関する法律知識の学習ができるアプリ『労働条件(RJ)パトロール!』です。

内容は「過重労働」「ハラスメント」「不当な退職・解雇」など、よくある労働関連の法違反に関する簡単なクイズですが、そこから厚生労働省のwebページや、各地の労働局・労働基準監督署などの相談窓口に簡単にアクセスできる仕組みになっている点が特徴です。

ブラック企業が広辞苑に載る時代

いまや「ブラック企業」は、来年1月発行の最新版『広辞苑』(岩波書店)にも収録されるなど、すっかり一般的な言葉として定着しました。

電通の過労死事件の問題や「働き方改革」の広がりもあり、就職活動中の学生や若手転職者は、企業の採用条件を大変シビアに見ています。

まだまだ続く採用の「売り手市場」

さらに今の時代、人材難がこの流れに拍車をかけます。文部科学省「平成29年度 就職・採用活動に関する調査結果」によれば、同年度の採用活動において、企業のうち93.0%が「売り手市場」であると回答し、さらに71.2%が「昨年度より強い傾向」と回答しています。
採用される側が優位であれば、企業により良い条件が求められるのは必然であり、企業の労働条件をチェックする目は今後ますます厳しくなるでしょう。
前述のアプリのように、手軽に労働法の関連知識を調べたり、労働トラブルを相談したりする機会も増えています。法令違反をしないよう注意するのは当然ですが、少しでも自社の労働条件を改善し、それを採用時にアピールしていくことが、企業存続のために必要と言えます。
2017年11月15日|カテゴリー「コラム

「健康経営優良法人」とは?

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経済産業省が主導し、特に優良な健康経営を実践している企業等を選出し顕彰する「健康経営優良法人2018」の中小規模法人部門の申請受付が11月6日にスタートしました。

健康経営優良法人認定制度は、大規模法人部門(ホワイト500)と中小規模法人部門で認定基準が異なり、従業員や求職者、関係企業や金融機関等から「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として、社会的に評価を受けることができる環境整備を目標としています。
今年が初回となった「健康経営優良法人2017」では、大規模法人部門で235法人、中小規模法人部門で318法人が認定されました。

認定の評価項目は?

健康経営優良法人(中小規模法人部門)の認定を受けるには、以下の認定基準、評価項目を満たすことが必要です。
(1)経営理念(経営者の自覚)…健康宣言の社内外への発信および経営者自身の検診受診
(2)組織体制…健康づくり担当者の設置
(3)制度・施策実行…定期検診受診率、ストレスチェックの実施、適切な働き方実現に向けた取組み、病気の治療と仕事の両立の促進に向けた取組み、過重労働対策、メンタルヘルス対策など
(4)評価・改善(保険者へのデータ提供)
(5)法令遵守・リスクマネジメント
なお、評価基準、評価項目の詳細については、経済産業省のホームページに掲載の「健康経営優良法人(中小規模法人部門)2018認定基準」、「健康経営優良法人(中小規模法人部門)2018認定基準解説書」より確認することができます。

申請の流れ

健康経営優良法人(中小規模法人部門)の申請に関する手続きは以下の通りです。
・所属する保険者が実施している健康宣言等に参加
・認定制度の評価項目に掲げる事項に取り組み、適合状況を自主確認。申請様式に必要事項を記載し、主たる保険者に認定申請書を提出(12月8日まで)
・主たる保険者が申請書を取りまとめ、日本健康会議健康経営優良法人認定委員会事務局へ提出
・日本健康会議健康経営優良法人認定委員会による受理、審査
・日本健康会議健康経営優良法人認定委員会による認定(平成30年2月下旬)
2017年11月8日|カテゴリー「コラム

◆企業規模別の調査

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10月下旬に、経済産業省より平成29年「企業の賃上げ動向等に関するフォローアップ調査」の結果が発表されました。

この調査は「大企業調査」と「中小企業調査」にわかれており、前者は東証一部上場企業2,001社に調査票を送り364社が回答(回答率18.2%)、後者は中小企業・小規模事業者30,000社に調査票を送り8,310社が回答(回答率27.7%)しています。

中小企業が積極的に賃上げを実施

平成29年度に常用労働者の賃上げを実施した大企業は89.7%(前年度90.1%)、正社員の賃金を引き上げた中小企業・小規模事業者は66.1%(前年度59.0%)となりました。
前年度と比較すると、中小企業が積極的に賃上げを行っている傾向がうかがえます。

中小企業が賃上げを実施する理由は?

中小企業・小規模事業者が賃上げを実施した理由について、ベスト5は以下の通りとなっています。
(1)人材の採用・従業員の引き留めの必要性(49.2%)
(2)業績回復・向上(34.3%)
(3)他社の賃金動向(21.6%)
(4)最低賃金引上げのため(11.4%)
(5)業績連動型賃金制度のルールに従った(15.3%)

賃金規定、人手不足に関する状況

なお、中小企業・小規模事業者において、賃金表等を含む賃金規定を「持っている」と回答した割合は61.0%でした。
また、「人手不足・人材不足」を感じていると回答した割合は66.4%、採用活動の方法については「ハローワーク」が最多(78.7%)となっています。
2017年11月4日|カテゴリー「コラム

不妊治療を受ける夫婦が増加

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日本における平均初婚年齢は年々上がっており、最新値となる2015年においては男性31.1歳、女性29.4歳で、1950年(男性25.9歳、女性23.0歳)と比べると5~6年ほど上がっています。また、出産時の女性の年齢についても上昇しており、2015年における第1子出産時の平均年齢は30.7歳となっています。

近年、不妊治療を受ける夫婦が増え、働きながら不妊治療を受ける従業員も増加傾向にありますが、仕事と治療との両立に悩み、やむをえず退職するケースも多いようです。

このような背景を受け、厚生労働省は、職場内における不妊治療への理解を深めるために、不妊治療の内容や職場での配慮のポイント、仕事と治療の両立に役立つ制度などを紹介しています。

今回は同省が発行しているリーフレットを簡単にまとめます。

職場における取組みについて

従業員自身から相談や報告があった場合でも、本人の意思に反して職場全体に知れわたってしまうことなどが起こらないよう、プライバシーの保護に配慮する必要があります。また、職場での従業員の意に反する性的な言動(性的な事実関係を尋ねる、性的な冗談やからかい等)は、セクシュアルハラスメントになる可能性がありますので注意が必要です。

なお、不妊治療は、頻繁に通院する必要があるものの、1回の治療にそれほど時間がかかるわけではありません。そのため、「通院に必要な時間だけ休暇を取ることができるよう、年次有給休暇の時間単位での取得」「出退勤時刻の調整ができるよう、治療目的で利用できるフレックスタイム制の導入」など、柔軟な働き方を可能とする取組みのほか、不妊治療のための休暇(休職)制度を設けたり、治療費の補助や融資を行ったりなど、独自の取組みを行う企業もあります。
厚生労働省のリーフレットには、その他の取組み例や就業規則例が掲載されています。

2017年11月3日|カテゴリー「コラム

「過重労働解消キャンペーン」とは?

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長時間労働対策の強化が喫緊の課題となっている中、厚生労働省では「過労死等防止啓発月間」の一環として「過重労働解消キャンペーン」を11月に実施し、長時間労働の削減等の過重労働解消に向けた取組みを推進するため、使用者団体・労働組合への協力要請、リーフレットの配布などによる周知・啓発等の取組みを集中的に行うそうです。

実施期間は11月1日~30日となっています。

主な実施内容

(1)労使の主体的な取組の促進
使用者団体や労働組合に対し、長時間労働削減に向けた取組みに関する周知・啓発等について、厚生労働大臣名による協力要請が行われ、労使の主体的な取組みが促されます。また、都道府県労働局においても同様の取組みが行われます。
(2)労働局長によるベストプラクティス企業への職場訪問
都道府県労働局長が長時間労働削減に向けた積極的な取組みを行っている「ベストプラクティス企業」を訪問し、取組事例をホームページなどで地域に紹介します。
(3)過重労働が行われている事業場などへの重点監督

<監督の対象となる事業場等>
・長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場等
・労働基準監督署およびハローワークに寄せられた相談等から、離職率が極端に高いなど若者の「使い捨て」が疑われる企業等

<重点的に確認される事項>
・時間外・休日労働が「時間外・休日労働に関する協定届」(いわゆる36協定)の範囲内であるか(法違反が認められた場合は是正指導)
・賃金不払残業が行われていないか(法違反が認められた場合は是正指導)
・不適切な労働時間管理については、労働時間を適正に把握するよう指導
・長時間労働者に対しては、医師による面接指導等、健康確保措置が確実に講じられるよう指導

<書類送検>
・重大・悪質な違反が確認された場合は、送検、公表
(4)電話相談の実施
都道府県労働局の担当者による、フリーダイヤルでの相談、助言、指導が行われます。
(5)キャンペーンの趣旨などについて周知・啓発
(6)過重労働解消のためのセミナー開催
全国で合計66 回、「過重労働解消のためのセミナー」が開催されます(参加無料)。
2017年11月2日|カテゴリー「コラム

過労死等防止対策推進法第6条に基づく年次報告書

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厚生労働省は、10月上旬に2017年版の「過労死等防止対策白書」(いわゆる過労死白書)を公表しました。この過労死白書は、過労死等防止対策推進法第6条に基づく年次報告書であり、今回が2回目となります。

2016年度の過労死に関するデータのほか、民間企業で働く2万人に労働時間やストレスについて聞いた2015年度のアンケート結果を分析しており、電通の違法残業事件や、それを受けた政府の緊急対策も紹介されています。

労働時間の把握による残業時間減が明確に

上記アンケートの分析では、フルタイムの正社員(7,242人)では、労働時間が「正確に把握されていない」人に比べ、「正確に把握されている」人は週あたりの残業時間が約6時間短く、「おおむね正確に把握されている」人で約5時間、「あまり正確に把握されていない」人でも約2時間短いことがわかりました。

また、残業をする際に「所属長が承認する」といった手続きを踏んでいると、残業が週3~4時間減ることも明らかになりました。

過労死等の業種別の傾向は?

2016年度に過労死や過労自殺(未遂を含む)で労災認定された人は前年度より2人多い191人で、近年は年間200件前後で推移して高止まりが続いています。

業種別では、運輸・郵便業41人、製造業35人、建設業23人の順に多く、運輸・郵便業では約2割が残業を週20時間以上しており、他業種より際立って多いことがわかりました。

一方、過去5年の過労自殺事例を年代別にみると、従業員100万人当たりの自殺者数は男性が40代(3人)で最も多く、次は50代の2.8人、女性は10~20代が0.4人、30代が0.2人の順でした。

また、従業員100万人当たりの労災認定は、「脳・心臓疾患」「精神疾患」のいずれでも漁業が最も多いという結果も明らかになりました。

自営業者の長時間労働も明らかに

白書では、自営業者の長時間労働の実態も調査・報告しており、昨年、週60時間以上働いた自営業者の割合は13.6%で、全雇用者の平均(7.7%)を大きく上回りました。週60時間以上働いた自営業者のうち、80時間以上働いていたのは1.5%。労働時間や日数の把握方法については、全体の73.4%が「特に把握していない」と答えています。

厚生労働省ではこれらの調査結果をもとに、労働時間の適正な把握を促して長時間労働の是正を図るとともに、事業主に対する監督指導の徹底、労働者に対する相談窓口などの充実などで、過労死等ゼロに向けた取組みを強化するとしています。
2017年9月29日|カテゴリー「コラム

監督指導結果の発表

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厚生労働省は、時間外労働等に対する割増賃金を支払っていない企業に対して労働基準法違反で是正指導した結果(平成28年度分)を取りまとめ、公表しました。

全国の労働基準監督署が、賃金不払残業に関する労働者からの申告や各種情報に基づき企業への監督指導を行った結果、平成28年4月から平成29年3月までの間に不払いだった割増賃金が支払われたもののうち、その支払額が1企業で合計100万円以上となった事案を取りまとめています。

平成28年度の是正結果のポイント

(1) 是正企業数:1,349企業(前年度比1企業増)
…うち、1,000万円以上の割増賃金を支払ったのは、184企業
(2) 支払われた割増賃金合計額:127億2,327万円(同27億2,904万円増)
(3)対象労働者数 :9万7,978人 (同5,266人増)
(4)支払われた割増賃金の平均額は、1企業当たり943万円、労働者1人当たり13万円

遡及支払金額別の詳細

(1) 100万円以上の割増賃金の遡及支払状況
業種別でみると、「商業」が304件で最も多く、次いで「製造業」の267件が続いています。
業種別の労働者数でみると、「製造業」の19,447人が最も多く、次に「保険衛生業」の17,103人となっています。
(2) 1,000万円以上の割増賃金の遡及支払状況
業種別でみると、「製造業」と「商業」がともに34件、「保険衛生業」が23件で全体の半分を占めており、対象労働者数は、「商業」9,563人、「製造業」7,617人となっています。

今後の取組み

今後も、厚生労働省による賃金不払残業の解消に向けての取組みや、労働基準監督署による指導は強化されていきますので、企業としても今まで以上に徹底した労務管理が求められます。

2017年9月26日|カテゴリー「コラム

東京都が条例制定を検討

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東京都では、都民の健康増進の観点から、また、オリンピック・パラリンピックの開催都市として受動喫煙防止対策をより一層推進していくため、「東京都受動喫煙防止条例(仮称)」の制定を検討しています。

その内容は以下の通りであり、罰金刑を科すことも検討しているようです。
(1) 成年者や患者が利用する医療施設・学校などは敷地内禁煙
(2) 不特定多数が利用する官公庁や大学は屋内禁煙
(3) ホテル・旅館・職場など事業所や飲食店、娯楽施設は原則屋内禁煙(喫煙専用室設置可)

このような受動喫煙防止の流れは、今後も進んでいくと思われ、企業としても注視していかなければならないでしょう。
ちなみに、平成27年6月より、事業者には労働者の受動喫煙を防止するため、事業者および事業場の実情に応じ適切な措置をとるよう努力義務が課されています(労働安全衛生法68条の2)。

「受動喫煙防止対策助成金」とは?

厚生労働省では、事業者が受動喫煙防止対策を行う際の費用の一部を支援するため、「受動喫煙防止対策助成金」を設けています。
中小企業事業主であって、事業場内において、喫煙防止措置を講じた区域以外を喫煙とする事業主を対象に、「喫煙室の設置・改修」「屋外喫煙所(閉鎖系)の設置・改修」「換気措置の設置(宿泊業・飲食業を営んでいる事業場のみ)」のいずれかの措置を講じた場合、その措置にかかる工費、設備費、備品費、機械装置費などの2分の1が助成されます(上限200万円)
申請手続などは、所轄の都道府県労働局へ行います。

厚生労働省が実施する支援事業

厚生労働省では、職場の受動喫煙防止対策に取り組む事業者に対する支援を行っています。
例えば、上記助成金の申請書類の書き方や風速の要件の満たし方など助成金申請の際に参考となる助言や、実績報告の際に必要なる測定機器の提供を行っています。

利用はすべて無料で行っているそうですので、利用してみてはいかがでしょうか。
(1) 受動喫煙防止対策の技術的な相談
事業場における喫煙室の設置、浮遊粉じんまたは換気量の要件への対応など技術的な内容について、専門家による電話相談など(必要に応じて実地指導も実施)
(2) 禁煙室などの要件の確認や事業場の実態把握
職場環境の実態把握などを行う際の支援として、測定機器の無料貸出しなど

2017年9月21日|カテゴリー「コラム

「生産性の向上」が大きなテーマ

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人手不足の現状や国が進めている「働き方改革」の施策により、企業の人事・労務分野に変革が求められている中、企業の「生産性向上」は大きいテーマとなっています。

そのような状況の中、最近、「HR Tech」「HRテック」「HRテクノロジー」という用語を様々なメディアで目にすることが増えてきました(以下では「HRテック」で統一します)。
「HRテック」とは、一体何なのでしょうか?

「HRテック」とは?

「HRテック」は、「HR」(Human Resources:人事、人材と「Tech」(Technology)を組み合わせた造語です。
「Finance」(金融)と「Technology」を組み合わせた「Fin Tech」という言葉がしばしば使われていますが、最近は様々な分野で、最新のIT技術を組み合わせた手法として「〇〇テック」という言葉が生み出されており、その中でも「HRテック」は、人事関連分野において、クラウドやAI(人工知能)など最新のIT技術を使用するという手法で、アメリカなどでは大きい産業の1つとなっているそうです。

国も注目している「HRテック」

「HRテック」については、国もその普及に注目しているところで、今年7月には経済産業省等の主催で「HR-Solution Contest ―働き方改革×テクノロジー― 」が開催されました。

最新技術により「働き方改革」を推し進めるために、企業が抱える人事・労務上の課題を解決するためのアイデアやソリューションを募集したもので、株式会社ジンズによる集中力の計測を行うという眼鏡型デバイスや、株式会社アトラエのAIを活用したビジネスマッチングアプリ等が受賞しています。

経済産業省のホームページでも、「人事評価や採用、人材育成等へのAIの活用やIoTによる労務管理、ビッグデータを活用した人材運用など企業における人事機能の向上や、ウェアラブル等のデバイスを活用して働き方の進化を実現する、いわゆる「HRテクノロジー」が新たなサービスとして急速に拡大しています」と書かれています。

今後の動きに注目

まだまだ日本では人事分野におけるIT技術の活用は遅れていると言われています。
ただ、労働力人口の減少や働き方の変革が進んでくると、ITを活用した業務の見直しが一層求められてくるかもしれませんので、今後の動きにも注目したいところです。
2017年9月21日|カテゴリー「コラム

改正を契機に加入者数が増加

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今年1月からの改正確定拠出年金法の施行により、個人型確定拠出年金(通称:iDeCo)は、基本的に20歳以上60歳未満のすべての方が任意で加入できるようになりました。

この改正により、今年に入ってから加入者が大幅に増加しており、平成29年6月時点における加入者数は54万9,943人(前年同期比203.8%)となっています。

iDeCoの仕組み

iDeCoは、公的年金に上乗せして給付を受ける私的年金の1つであり、加入者の老後の所得確保の一助となる制度です。
加入者が自ら定めた掛金額を拠出・運用し、原則60歳以降に、掛金とその運用益の合計額をもとに給付額が決定し、給付を受ける仕組みとなっています。

事業主が行わなければならない事務手続は?

企業で働く従業員がiDeCoに加入する際、事業主が行わなければならない事務手続が発生しますが、そのポイントは以下(1)~(5)の通りです。

厚生労働省では、従業員がiDeCoへの加入を希望した場合に速やかに加入できるよう、事業主への協力を呼びかけています。
(1) 事業所登録
加入者となる従業員(2号被保険者)を使用する事業所は、国民年金基金連合会(国基連)に事業所登録を行います。
(2) 事業主証明書の記入
加入を希望する従業員から提出される事業主証明書に必要事項を記入します。
(3) 事業主証明(年1回)
年に1回、国基連が加入申出時に得た情報をもとに、加入者の勤務先に資格の有無の確認を行いますが、その際に事業主の証明が必要となります。
(4) 事業主払込の場合の掛金納付
加入者が事業主払込を希望する場合、事業主から国基連に掛金を納付します。
(5) 年末調整
所得控除があるため、加入者が個人払込を選択した場合は年末調整を行います。
2017年9月20日|カテゴリー「コラム

年内に「高齢社会対策大綱」策定

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内閣府の「高齢社会対策の基本的考え方等に関する検討会」は、公的年金の受給開始年齢を70歳以降まで繰り下げることを可能とする仕組みづくりなどを盛り込んだ報告書の骨子案をまとめました。

政府はこの骨子案をもとに、年内に中長期的な高齢者施策の指針となる「高齢社会対策大綱」の改定案を閣議決定する予定です。

「エイジレス社会」実現へ

年金の受給開始年齢は原則65歳ですが、現行法では60~70歳の間で開始年齢について、「繰上げ」もしくは「繰下げ」ができます。
開始年齢を早めれば65歳から受給するのに比べて受給額が最大で30%減り、遅くすれば最大42%増えます。

骨子案では、「基本的考え方」として、「すべての高齢者が意欲・能力を活かして活躍できるエイジレス社会を目指す」とし「年齢区分で人々のライフステージを画一化することを見直すことが必要」だとしました。

そのうえで、「意欲ある高齢者が働き続けられ、また、就業できる仕組みを構築していくことが基本」とし、あわせて「高齢期の低所得を防止する視点も望まれる」としています。

高齢者のコミュニティづくりや資産活用も提言

骨子案ではこのほか、地域社会における高齢期の生活基盤を安定させるためのコミュニティづくりや、高齢者の資産を豊かな老後と日本の経済成長につなげる効率的な運用ができるよう環境整備が必要との報告も盛り込まれました。

導入の是非をめぐって議論本格化か

年金の受給開始年齢引上げをめぐっては、2014年に当時の田村憲久厚生労働大臣が「75歳程度まで引き上げることを検討する」と発言しましたが、その後具体的な議論とはなっていませんでした。

ただ、少子高齢化で労働力人口が減るなか、政府は多くの高齢者に働き続けてもらいたい考えで、自民党の「一億総活躍推進本部」が5月にまとめた提言にも年齢引上げが盛り込まれています。

今回は議論が本格化する可能性があり、導入の是非をめぐっては議論となりそうです。
2017年9月15日|カテゴリー「コラム

昨年度より25円高い848円

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2017年度の地域別最低賃金については、8月中旬に各都道府県労働局に設置される地方最低賃金審議会の答申が出揃い、9月中旬には官報公示も出揃いました。

今年度の全国加重平均額は848円で、昨年度に比べ25円の引上げとなりましたが、これは、昨年度に引き続き、現行制度が始まった2002年度以来最高の引上げ額です。

2023年度には1,000円まで引き上げられる!?

最低賃金は、近年引上げの流れが続いています。時給額のみで表示される現行制度が始まった2002年度には663円でしたが、昨年度に初めて800円を超えました。

これは、政府が中期目標として全国加重平均で最低賃金1,000円を掲げ、毎年3%程度引き上げるとしていることによります。

今年度の引上げ幅も3%となっており、このまま3%ずつ引き上げられると2023年度には1,000円に達しますが、中小・小規模事業者にとっては重い負担となります。

事業者を支援する助成金制度

最低賃金の引上げにより負担が増す中小・小規模事業者に対し、厚生労働省では、助成金による支援策を設けています。

「業務改善助成金」は、事業場内最低賃金が1,000円未満の事業者を対象に、最低賃金を一定額以上引き上げた場合にかかった費用の一部を助成(上限200万円)する制度です。

発効による給与計算への影響

引上げ後の最低賃金は、都道府県労働局長の決定・公示により確定するため、発効日は都道府県によって異なり、今年度は9月末から10月中旬までに順次発効される見通しです。

給与計算においては、発効日以降発生する賃金に引上げ後の最低賃金が適用されるため、賃金計算期間の途中に発効日がある場合は注意を要します。最低賃金での時給を適用している従業員がいる場合、賃金計算期間の途中で時給額が変更となるからです。

この場合、発効日を含む月の賃金計算期間から前倒しで時給を引き上げることもできますし、据置きにして、引上げ後の差額を別途支給することもできます。

2017年9月14日|カテゴリー「コラム

中小企業に浸透していない?

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東京商工会議所は、東京都内の中小企業を対象とした「健康経営」に関する取組みについての調査をまとめました。

その結果、約6割の企業は「健康経営」について認知しており、約2割の企業はすでに「実践している」と回答しました。

一方、健康経営の言葉自体を「聞いたことがない」企業は約4割もあり、認知度がいまだ低いことが浮き彫りとなりました。

関心はあるが、その効果は未知数

また、健康経営を進めるうえでの課題(複数回答)として、「どのようなことをしたらよいか分からない」が38.1%と最も多く、「ノウハウがない」「社内の人員がいない」(ともに22.7%)、「予算がない」(12.5%)と続いています。

中小企業は、健康経営に関心があるにもかかわらずその効果がわからず、また、実践するための予算や人員が確保できないため、取組みをためらっているようです。

健康経営は、企業が従業員の健康管理をすることで組織全体が活性化し、長時間労働の是正や生産性の向上の効果にもつながるとされています。

「健康経営」に関する主な取組み

関係省庁の主な取組みとして、経済産業省は、東京証券取引所と共同で毎年「健康経営銘柄」を選定して公表することで、企業の健康経営の取組みが株式市場等において評価される仕組みづくりに取り組んでいます。

また、厚生労働省は今年7月に「データヘルス・健康経営を推進するためのコラボヘルスガイドライン」を公表しました。このガイドラインは、事業主と健保組合等が連携(コラボヘルス)して健康増進に向けた取組みを行うためのものです。

また、健保加入者の健康情報の分析を行うことで、個人の状況に応じた保健指導や効果的な予防・健康づくりのアドバイス等が期待されます。
2017年9月14日|カテゴリー「コラム

建設業の働き方改革指針

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政府は、建設業の働き方改革として、建設現場の「週休2日制」の導入や雨や雪などの悪天候を考慮した「適正な工期」の設定などを盛り込んだ指針を決定しました。

この指針には罰則はありませんが、建設業の長時間労働の是正に向けた取組みとして、これから発注する公共・民間工事を対象に実施するとしています。

残業規制の適用に5年間の猶予

今年3月に公表された「働き方改革実行計画」では、原則として全業種で残業時間を年間720時間、繁忙月は100時間未満まで認める上限を設ける方針を決定しましたが、建設業は運送業や医師とともに、施行から5年間の猶予期間が設けられています。

建設業界の長時間労働の深刻化

建設業は、近年、人手不足による長時間労働が深刻化しています。

国土交通省の資料によると、国内の建設現場の約65%は「4週4休(週休1日以下)」で就業しているとされ、年間実労働時間も建設業は2,056時間(2016年度)と全産業平均より約2割長く働いていることになります。

また、週休2日の確保に向けたアンケートでは、技術者・技能労働者問わず半数以上が「完全週休2日」または「4週8休」が望ましいと考えていますが、実際は15%程度しか取得できていない状況です。

休日の確保、生産性向上となるか?

建設関係団体は、政府の指針を受けて、建設労働者が休日を確保できるように工事の発注者と受注者の連携や、情報通信技術(ICT)や人工知能(AI)の技術活用など、生産性を向上させる工夫を検討していき、適正な工期設定等に取り組んでいくとしています。

2017年9月13日|カテゴリー「コラム

睡眠ブーム到来中!

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「睡眠」が静かなブームとなっています。

ビジネスマン向けの「睡眠」関連書が次々と出版されたり、深夜業務が多い企業などを対象とした「従業員の睡眠改善」セミナーが話題となったりするなどしています。

「平成27年国民健康・栄養調査」(厚生労働省)によれば、1日の平均睡眠時間が「6時間未満」という人は平成27年で39.5%です。

この割合は、平成19年以降、増加し続けています。

睡眠ブームも、このように睡眠不足に悩む人が増えていることの裏返しと言えます。

ここでは、企業にとっての「従業員の睡眠不足」について、考えてみましょう。
「睡眠負債」という言葉をご存知でしょうか。スタンフォード大学により提唱された概念で、日々の僅かな睡眠不足が負債(借金)のように積み重なっている状態を指します。

短期的な睡眠不足であれば、しっかり休養すれば改善しますが、睡眠負債の場合、本人は睡眠不足の自覚がないまま心身にダメージが蓄積し、脳のパフォーマンスの低下や、がん、生活習慣病、鬱、認知症などの発症をも引き起こすとされています。

一例として、東北大学の調査によれば、睡眠時間が6時間以下で睡眠負債がたまった状態の人においては、男性の前立腺がんの発症率が1.38倍、女性の乳がん発症率が1.67倍に悪化したとのことです。

睡眠負債で高まる労災リスク

睡眠負債は、慢性的な長時間労働と表裏一体の関係にあります。企業にとっては、従業員の疾病発症率が高まるということは、自社の労災発生リスクが高まることを意味しています。

万が一、自社の従業員が脳・心臓疾患や精神疾患を発症し、これが長時間労働によるものと主張されることになれば、企業はこの疾患の「業務起因性」や、そもそもの「安全配慮義務」を問われる事態ともなりかねません。

労働者と企業を守る「勤務間インターバル制度」

労働者の睡眠負債への特効薬として、今、期待されているのが「勤務間インターバル制度」(退社から出社まで一定時間を空け、労働者の休息時間を確保する制度)です。

終業が遅くなった際、始業を後ろ倒しすることで、睡眠を含む休息時間の確保につながります。

厚生労働省の有識者会議における資料によれば、この「勤務間インターバル制度」をすでに導入している企業および導入検討中の企業はわずか10%程度であり、普及はまだまだこれからですが、企業にとって要注目の制度と言えるのではないでしょうか。
2017年9月10日|カテゴリー「コラム

中小企業の人手不足は今後も続く?

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来年度の新卒求人倍率は、全体で1.78倍、従業員5,000人以上の企業での0.39倍に対して、300人未満企業では6.45倍になると推計されており(リクルートホールディングスの調査)、来年度も売り手市場となり、中小企業での人材確保は厳しい状況が予想されます。

こうした中、商工中金から『中小企業の「働き方改革」に関する調査』の結果が公表されました。この調査は、人手不足への対応にもなると注目され、「働き方改革」で議論されている各取り組み・制度について、中小企業の導入・実施の状況等を調査したものです(10,022社が対象、有効回答数4,828社)。

調査結果からは、全体的な状況として雇用が不足(「大幅に不足」と「やや不足」の計)しているとする企業が58.7%を占め、「営業」「販売・サービス」「現業・生産」の職種で不足感が強く、特に「正社員」が不足していることがわかります。

「働き方改革」について

働き方改革で注目されている12の取組みについて、「シニア層の活用」「子育て世代の支援」は過半数がすでに導入・実施していますが、「在宅勤務」「サテライトオフィス」「副業・兼業の容認」の導入・実施は1割未満でした。
<注目される12の取組み>
① 長時間労働の管理・抑制に向けた取組み
② OJT・OFF-JT など、社員教育の制度
③ 資格取得・通信教育への補助金など、自己啓発の支援
④ 在宅勤務制度
⑤ 勤務先や移動中におけるパソコン等を活用した勤務制度 (モバイルワーク)
⑥ サテライトオフィス勤務制度
⑦ 副業・兼業の容認
⑧ 定年延長など、シニア層活用の制度
⑨ 育児休業や短時間勤務など、子育て世代支援の制度
⑩ 妊娠・出産期の女性支援の制度
⑪ 介護休業など、介護離職防止の制度
⑫ 外国人労働者活用の制度

どこまで対応すべきか?

これからの時代を乗り切るためには、自社でできる対応があるのか、どの程度できるか等の検討をいち早く始めるべきでしょう。
2017年9月9日|カテゴリー「コラム

平成28年度「過労死等の労災補償状況」

お問合せ
厚生労働省は、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスなどが原因で発病した精神障害に関して、平成14年から、労災の請求件数や支給決定件数などを年1回取りまとめています。

このたび平成28年度の集計結果が公表されましたので、その内容をまとめます。

脳・心臓疾患に関する労災補償状況

請求件数は825件で、前年より30件増加しました。支給決定件数は260件で前年比9件増、うち死亡件数も同11件増の107件でした。
業種別に見てみると、請求件数・支給決定件数ともに「運送業、郵便業」が212件と最も多く、次いで「卸売業、小売業」106件、「製造業」101件と続きます。

年齢別では、「50~59歳」が請求件数266件、支給決定件数99件とともに一番多く、「40~49歳」が請求件数239件、支給決定件数90件と、ともに2番目に多くなっています。

時間外労働時間別の支給決定件数は、「80時間以上~100時間未満」が106件で最多、「100時間以上」の合計件数は128件ありました。

精神障害に関する労災補償状況

精神障害の請求件数は、前年から71件増え1,586件と、過去最多となりました。そのうち未遂を含む自殺件数は前年から1件減の198件でした。支給決定件数は498 件で前年から26件増加し、うち未遂を含む自殺の件数は前年から9件減の84件となっています。
業種別で見ると、請求件数は 「医療、福祉」302件、「製造業」279件、「卸売業、小売業」220件の順に多く、支給決定件数は「製造業」91件、「医療、福祉」80件、「卸売業、小売業」57件の順になっています 。

年齢別では、「40~49歳」歳の請求件数が542件、支給決定件数が144件とともに最も多く、次いで「30~39歳」の請求件数が408件、支給決定件数136件という順に多くなっています。

そして、出来事別の支給決定件数は、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」が74件、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」が63件となっています。

裁量労働制対象者に係る支給決定件数

過去6年間で、「裁量労働制対象者」に係る脳・心臓疾患の支給決定件数は22件で、うち専門業務型裁量労働制対象者に係る支給決定が21件、企画業務型裁量労働制対象者に係る支給決定が1件ありました。
企業側は、事業場の事故に限らず、労働時間・働き方等の管理に厳重な配慮が必要です。

2017年9月7日|カテゴリー「コラム

戸籍法改正の方針を明らかに

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法務省は、マイナンバー制度の利用範囲を戸籍事務に拡大するため、戸籍法の改正について、9月中旬の法制審議会に諮問する方針です。

その後、法制審議会での審議を経て、2019年の通常国会に「戸籍法改正案」の提出を目指すとしています。

「戸籍制度に関する研究会」における議論

戸籍事務におけるマイナンバー導入は、法務省の「戸籍制度に関する研究会」で議論されてきました。
その結果、「戸籍情報連携システム」(仮称)を構築し、戸籍事務においてもマイナンバー制度の連携情報を必要な範囲で参照できるようにすることとされました。

しかし、番号法(マイナンバー法)上、行政事務に対する情報提供については、原則として情報提供ネットワークシステムを利用して行われるため、1994年以後の電子化された戸籍に限ることとし、電子化以前のものは対象外となります。

連携情報と文字問題

現在の戸籍情報システムは各市町村で個別に構築され、登録されている文字情報もそれぞれに異なります。

例えば、氏名で用いられる文字には常用漢字等に含まれないものも多くありますが、連携情報を整備しようとすると、名寄せができず、戸籍記録にマイナンバーを紐付けることができないおそれがあります。

そのため、上記の研究会では、今後、戸籍情報に記録される文字に関する制限や、すでに記録されている情報についても字形の同一化を実現する措置の必要性を検討するとしています。

2017年9月7日|カテゴリー「コラム
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2013年に「改正労働契約法」が施行され、同法18条により、同じ事業主の下で契約更新が繰り返されて通算5年を超えた有期契約労働者は、本人の申出により「無期雇用」として働くことができるようになりました(いわゆる『無期転換ルール』)。

施行から5年が経過する来年(2018年)4月1日から本格的に、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できる権利を有する労働者が生じることとなりますが、そんな中、連合から『有期契約労働者に関する調査報告』が発表されました。

ルールの認知度は?

この調査は、本格的に無期労働契約への転換が始まる前に、有期契約労働者の改正労働契約法についての認知状況や考えを把握するため、今年4月に実施されたものです(有効回答者数:1,000名)。

まず、『無期転換ルール』について、「ルールの内容まで知っていた」は15.9%にとどまっており、「ルールができたことは知っているが、内容までは知らなかった」が32.9%、「ルールができたことを知らなかった」が51.2%で、この2つを合計した『内容を知らなかった』は84.1%となっています。

ルールの対象者となる労働者の中ではまだまだ認知度が低いようです。

ルールに対する考え方

また、『無期転換ルール』についての考えを尋ねたところ、「契約期間が無期になるだけで待遇が正社員と同等になるわけではないから意味が無い」が54.5%で最も割合が高く、次いで「無期契約に転換できる可能性があるのでモチベーションアップにつながる」が37.1%、「契約更新して働き続ける可能性が狭まる」が31.3%となっています。

会社としての対応は?

いずれにしても来年4月からこの『無期転換ルール』の適用が本格化するわけですから、「まだ何も対応していない」という会社では、まずは対象となる従業員に対して制度(ルール)を説明し、あわせて無期転換となる労働者の待遇の決定、規定の整備等を行う必要があります。

2017年9月5日|カテゴリー「コラム

初の取りまとめ

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ストレスチェック制度の実施状況が、制度施行後、初めて取りまとめられ、厚生労働省から発表されました。
その結果、実施義務対象事業場のうち、ストレスチェック制度を実施したのは82.9%で、実際にストレスチェックを受けた労働者の割合は78.0%でした。

そのうち、医師による面接指導を受けたのは平均0.6%ですが、事業場規模が小さくなるほどその数値は高くなっています(50~99人規模では0.8%)。

社員が死亡等された場合、健康診断を受けさせない(受けていないことを放置する)ことで会社の管理責任が問われるケースがありますが、これからはストレスチェックを受けさせないことで会社の責任を問われるようなケースも出てくるかもしれません。

「ストレスチェック制度」とは?

ストレスチェック制度は、50名以上の従業員がいる事業場に義務付けられているもので、ストレスに関する質問票に労働者が記入し、それを集計・分析することで、自分のストレスがどのような状態にあるのかを調べる検査です。

労働安全衛生法に基づき、2015年12月から、毎年1回、この検査をすべての労働者に対して実施すること、その結果に基づく面接指導などを実施することが義務付けられました(ただし、契約期間が1年未満の労働者や、労働時間が通常の労働者の所定労働時間の4分の3未満の短時間労働者は義務の対象外です)。

なお、現時点で50名未満の事業場については「努力義務」となっていますが、今後義務化される可能性もあります。

制度導入に対する助成金

50人未満の事業場がストレスチェック制度を実施する場合には支援措置が用意されています。

2017年度は、従来からあった「ストレスチェック助成金」に加え、次の3つの助成金が新設されました。

・職場環境改善計画助成金
・小規模事業場産業医活動助成金
・心の健康づくり計画助成金

政府や行政の動きとしても、労働者の健康確保は最近の目玉政策の1つであり、労働基準監督署による集中的な指導・監督が行われています。
社員がメンタル不調で欠員となる影響は中小企業ではより深刻です。会社の経営は社員の健康なくして語れない時代になりました。予防こそ最大の対策です。
2017年9月5日|カテゴリー「コラム
平成27年9月30日の改正労働者派遣法により特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業の区別が廃止され、すべての労働者派遣事業は、新たな許可基準に基づく許可制となりました。

施行日時点で特定労働者派遣事業を営んでいる方は、引き続き、3年間は「その事業の派遣労働者が常時雇用される労働者のみである事業」を営むことが可能です。つまり平成30年9月29日までは特定労働者派遣事業を営むことができます。

平成30年9月30日以降については継続して労働者派遣事業を営むには、新たに許可申請を行い許可を得る必要があります。

まだ1年以上ありますが、期限日間際になって申請すると許可要件を満たしていない事項(事業所要件の不適合や派遣元責任者講習未受講など)が見つかると解消する時間がなく、許可を得るまでに空白期間が生じてしまうこともあるため早期に余裕をもって許可制の切り替えをしなければなりません。

特定労働者派遣と一般派遣労働者との違い

派遣労働者の範囲
常用雇用労働者のみを派遣
更新
不要
資産要件
なし
事業所の面積要件
なし
事業開始までの期間
届出後即日
派遣元責任者
派遣元責任者講習の受講および雇用管理経験不要
職務代行者の選任
不要
派遣労働者の範囲
常用雇用労働者とそれ以外の労働者を対象として派遣(登録型や臨時の派遣等)
更新
最初は3年、以後5年毎
資産要件
あり
事業所の面積要件
事業に使用しうる面積がおおむね20㎡以上
事業目的の明記
登記簿謄本の目的に労働者派遣と明記
事業開始までの期間
許可申請後、最短で2~3ヶ月
派遣元責任者
許可の申請の受理日前3年以内の派遣元責任者講習の受講と3年以上の雇用管理経験が必須
職務代行者の選任
必須
申請手数料
1事業所12万円分の収入印紙、2事業所目以降は1事業所ごとに5万5千円分の収入印紙が必要
登録免許税
9万円の納付が必要
2017年9月2日|カテゴリー「コラム

引上げ額は全国平均で25円

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7月27日に開催された厚生労働省の第49回中央最低賃金審議会において、今年度(平成29年度)の地域別最低賃金額改定の目安が公表されました。

今年度の引上げ額の全国加重平均は25円(昨年度24円)、改定額の全国加重平均額は823円(同798円)となっています。

全都道府県で20円を超える目安額に

各都道府県に適用される目安のランクは以下のようになっています(都道府県の経済実態の応じ、全都道府県をABCDの4ランクに分けて、引上げ額の目安を示しています)。

【各都道府県に適用される目安】
・Aランク(引上げ額26円)…埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪の6都府県
・Bランク(引上げ額25円)…茨城、富山、長野、静岡、京都、広島など11府県
・Cランク(引上げ額24円)…北海道、宮城、群馬、新潟、岐阜、山口など14道県
・Dランク(引上げ額22円)…青森、岩手、福島、鳥取、長﨑、鹿児島、沖縄など16県
全都道府県で20円を超える目安額となっており、引上げ率は昨年度と同じ3.0%です。

改定は10月から

今後、各地方最低賃金審議会において上記の目安を参考にしつつ、それぞれの地域における賃金実態調査などを踏まえて、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定します(10月1日から10月中旬までの間に順次発効される予定です)。

上記の目安額通りに最低賃金が決定されると、最低賃金が時給で決まるようになった平成14年以降、過去最高額となる引上げとなります(昨年度は18円)。

2017年9月2日|カテゴリー「コラム

「資産要件」を緩和へ

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厚生労働省は、労働者派遣事業者の許可基準を緩和する方針を固め、改正案を公表しました。

現在は、許可申請事業主に関する財産的基礎として、純資産等で一定の要件を設けていますが、地方公共団体が事業者の債務を保証することなどを条件として、実質的に資産要件を撤廃します

労働者派遣法に基づく許可基準を改め、9月上旬にも適用する方針です。
現行の許可基準では、派遣労働者に対する賃金支払いを担保するため、許可申請事業主に対して、「資産の総額から負債の総額を控除した額が2,000万円に当該事業主が労働者派遣事業を行う事業所の数を乗じた額以上であること」「基準資産額が負債の総額の7分の1以上であること」「事業資金としての自己名義の現金・預金の額が事業所数に1,500万円をかけた金額を上回ること」といった要件が課されています。

地方公共団体の保障で要件を担保

今回示された改正案では、地方公共団体が企業と債務保証や損失補填の契約を結ぶことを条件に、これらの要件を満たさなくても事業をすることを許可するとしています。

地方公共団体との債務保証契約や損失補てん契約が存在することで、資産要件を満たしている場合と同じ程度の評価ができると判断するものです。

資産要件の基準そのものは引き下げず、労働者への賃金支払いが滞らないようにします。

2015年改正による基準を、実態を踏まえ緩和

2015年の労働者派遣法改正で、それまで資産要件を満たす必要がある許可制の事業者と、資産要件のない届出制の事業者の2種類あった事業者の区分が、許可制に統一されていました。

事業者は来年9月までに許可制に移行する必要がありますが、今年7月現在で、許可制の事業所数が約2万4,000件あるのに対し、届出制は約5万5,000件と移行は順調に進んでおらず、「資産要件のハードルが高い」といった指摘も寄せられていました。
今回の基準改正で移行を促し、経営規模の小さい事業者でも派遣業を続けられる環境を整えて、地方で働く人などが仕事を見つけやすくするねらいです。
2017年8月3日|カテゴリー「コラム

「人手不足倒産」増加の状況

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人手不足の問題が各方面で叫ばれているとろですが、帝国データバンクが7月上旬に公表したデータによると、人手不足による倒産件数は4年前の約2.9倍に増えているそうです

2017年上半期の人手不足による倒産件数は前年同期比で44.1%増となり、2年連続の前年同期比増となりました。
倒産件数全体に対する「人手不足倒産」の割合はまだまだ小さいものですが、業種や倒産する会社の規模に変化が出てきているそうであり、人手不足の影響の広がりが懸念されています。

影響が出ている業界にも変化が

人手不足倒産が発生する業種としては、従来から「介護事業」や「IT関連」などの割合が高くなっていますが、近ごろはこれらの業種のように特殊な資格やノウハウが必要でない業種でも人手不足倒産が増えているそうです。

ある社員が待遇面や給与面を理由にして他の従業員を引き連れて退社してしまい、人材不足から倒産に陥るという事例も見られるそうです。

影響が出ている中小企業は約7割

また、日本商工会議所が発表した調査(全国約3,500の中小企業を対象)では、「人手不足の影響が出ている」と回答した企業は約7割に上ったそうです。

人手不足による具体的な影響については、「売上維持・売上増への対応が困難」が53.3%、「従業員の時間外労働の増加や休暇取得の減少」が48.8%、「業務・サービスの質の低下」が46.1%となっており、人手不足への対応としては、「既存従業員の多能工化・兼任化」が53.5%、「採用活動の拡大」が51.6%、「離職防止や新規人材獲得のための労働条件の改善」が38.8%となっています。

いま問題が起きていない企業も他人事ではない

先行きの改善が見込みづらい中で、今後は人手不足の問題はさらなる影響の拡大が懸念されるところです。実際、現状で具体的な問題が起きていない企業であっても、今後問題が顕在化してくることは大いに考え得るところです。

経済産業省では、昨年10月に『中小企業・小規模事業者の人手不足対応研究会』を立ち上げ、様々な施策を検討中です。企業としても「倒産」という最悪の状況に陥らないために、これらの動向も見極めながら、今後の人手不足問題への対策、人材確保策を考えていくべきでしょう。

2017年7月15日|カテゴリー「コラム

連合からの要請を受け法案修正の動き

7月11日、労働基準法改正案の修正をめぐる政労使会合の合意文書案が明らかになりました。

改正案に盛り込まれている、年収1,075万円以上の金融ディーラーや研究開発職等を労働時間規制の対象外とする「高度プロフェッショナル制度」について、労働界の求める長時間労働対策を盛り込んだかたちに修正し、秋に開かれる臨時国会での成立を目指します。

具体的な修正内容

合意文書案では、制度対象者の長時間労働対策として、「年間104日以上かつ4週4日以上の休日を与えること」を義務付けることとしました。

また、(1)退社から出社までの間に一定の休息時間を設ける勤務間インターバル制度の実施、(2)労働時間の上限設定、(3)2週間連続の休日取得、(4)(一定条件の下での)臨時の健康診断の実施のいずれか複数の措置を労使で決定し、実施を義務付けます。
さらに、制度適用者の拡大を懸念する労働界への配慮から、「対象が営業職全般に拡大されるものでなない」との表現も、盛り込まれました。

修正案をめぐる動き

連合の逢見人事局長は7月11日に民進党の大串政調会長と会談し、条件付きで政府案を受け入れる内容を盛り込んだ連合の修正案を説明しました。

塩崎厚生労働大臣は、同日の記者会見で「連合の意見を聞きながら前に進めていきたい」と述べています。

臨時国会での成立なるか?

継続審議となっている労基法改正案には、高度プロフェッショナル制度のほか、「中小企業の月60時間以上の時間外労働の割増賃金率の見直し」や「時間外労働時間の上限設定」等が盛り込まれています。
また、臨時国会には、非正規労働者の処遇を改善する「同一労働同一賃金」に向けたパート労働法、労働契約法、労働者派遣法の改正案も提出される予定です。

これらが「働き方改革関連法案」として臨時国会で一括審議される見通しですが、野党が根強く反対している改正項目も含まれており、法案の行方は不透明です。

2017年6月26日|カテゴリー「コラム

「iDeCo」の加入者が急増中

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確定拠出年金の加入者数は、会社が社員を加入させる「企業型」が500万人超となる一方、自営業者等が加入する「個人型」は2016年3月末時点で26万人弱(25.7万人)しかいませんでした。

ところが、今年1月より確定拠出年金法が改正され、20歳から60歳までの人はほぼ全員が「個人型」(以下、「iDeCo」)に加入できるようになって以降、急速に加入者数が増えています。 
2017年3月末時点のiDeCo加入者数は43.0万ですが、2014年3月末が18.3万人、2015年3月末が21.2万人、2016年3月末が25.7万人だったことを考えると驚異的な伸びとなっています。

会社員等の新規加入も増加

厚生労働省が毎月公表している「確定拠出年金の施行状況」で、厚生年金や共済年金に加入する第2号被保険者のiDeCoの新規加入者を見ても、1月時点が2万2,647人(8,719人)で、2月時点が4万3,694人(2万3,268人)、3月時点が4万7,532人(2万372人)、4月時点が5万2,487人(1万6,939人)と、増加傾向にあります(カッコ内は全体のうち共済組合員の数)。

確定拠出年金の「ほったらかし」問題も深刻化

確定拠出年金は、加入者が離転職をしても次の勤務先等へ資産を持ち運べる「ポータビリティ」が魅力とされますが、離転職時には資産の保管先を移し換える手続きが必要です。

この手続きを行わない人が55万人超もいて、将来の受取りへの影響が懸念されています。

中途採用者には手続きの呼びかけを

企業型の加入者は、退職後6カ月以内に移換手続を行わないと手数料だけが引かれ、資産が目減りしていきます。また、「ほったらかし」の期間は加入期間としてカウントされなくなるので、60歳になっても受取りに必要な10年の加入期間を満たせなくなるおそれがあります。

iDeCoの加入者も、転職先が企業型を導入しているか否かにより異なる手続きが必要です。
今後、中途採用者の中に確定拠出年金の加入者が増えることが予想されます。会社としては、社員の老後資産の確保のためにも、速やかに手続きを行うよう呼びかけることが望ましいでしょう。 

2017年6月19日|カテゴリー「コラム

障害者の職業紹介の状況

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厚生労働省の発表によると、平成28年の障害者の職業紹介状況は、ハローワークを通じた障害者の就職件数が前年の90,191件から伸び、93,229件(前年比3.4%増)となったそうです。

また、就職率も48.6%上昇しています。

就職件数は?

身体障害者の就職件数は26,940件で前年比3.8%の減少ですが、知的障害者は就職件数20,342件で同1.9%増、精神障害者の就職件数は41,367件で同7.7%増、その他の障害者については4,580件で同19.5%増となっています。

業界別、職業別の就職状況は?

業界別にみてみると、「医療・福祉」業界での就職件数が最も多く、全体の38%を占めています。そして、「製造業」(13.2%)、「卸売業・小売業」(12.4%)と続きます。

前年比で見てみると、「公務・その他」が14%、「宿泊業、飲食サービス業」が7.9%増加しています。
職業別では、「運搬・清掃・包装等の職業」の割合が34.9%と最も高く、「事務的職業」(20.1%)、「生産工程の職業」(13.3%)、「サービスの職業」(12.1%)と続いています。

地域別の就職状況は?

都道府県別に見てみると、就職件数が最も多かったのは大阪府の7,017件、以下、東京都6,494件、愛知県5,232件となっています。
一方、就職率を見てみると、富山県の71.9%が最も高く、徳島県71.0%、島根県67.2%と続きますが、いずれも就職件数が少ない地域になります。

逆に、就職件数の多い大阪府の就職率は45.9%で、東京都は32.4%、愛知県は46.6%と半数にも満たない結果になっています。

障害者の解雇数

障害者の解雇状況を見てみると、前年の1,448件から1,335件と減少しています。解雇の理由で多いのは「事業廃止」と「事象縮小」となっています。

今後の動向は?

来年の4月より、障害者の法定雇用率が引き上げられますので、今後の障害者雇用の動向が気になるところです。
2017年6月14日|カテゴリー「コラム

AIブーム席巻中

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昨年頃から実用化され始めたAI(人工知能)技術が、ここにきて一大ブームとなっており、AIについての報道や出版物が日に日に増しています。

ここでは、「AI」と「雇用」の関係について考えてみます。

労働者の半数が機械に仕事を奪われる?

AIと雇用について論じる際、必ず引用されるのが、マイケル・オズボーン准教授(オックスフォード大学)らが2013年に発表した、「今後10~15年の間に、米国の労働人口のうち47%が、AIやロボットに代替され得る」という研究結果です。

関連する別の研究によれば、日本では、労働人口の49%が、AIやロボットによる代替可能性が高いそうです(リクルート機関誌『Works.137』特集「同僚は人工知能」、2016年)。

労働者のおよそ半数が仕事を失ってしまう…そんな驚くべき未来が、そう遠くない将来に現実のものとなるというのです。そのとき、企業では何が起きるのでしょうか。

仕事が無くなっても配置転換で対応してきた日本企業

労働法の歴史に詳しい大内伸哉教授(神戸大学)は、次のように指摘しています(『AI時代の働き方と法』弘文堂、2017年)。

・1980年代のME(マイクロ・エレクトロニクス)革命や1990年代のIT革命の際にも、業務が一新され、従前の雇用が大量に失われた。その一方、MEやITに従事する新たな雇用も創出されたので、日本型終身雇用に守られた労働者は再配置(社内配転等)がなされ、大量の失業者が発生する結果にはならなかった。

・ただし、AI・ロボット技術による革命では、(1)技術の発達が早すぎる、(2)肝心の雇用がそれほど創出されない、という2つの理由により、再配置には困難が伴うだろう。

AI時代に備えた雇用を

労働法が現行の内容である限り、日本の企業はたとえAIによって自社の職務の多くが失われても、自社従業員の雇用を守るべく、少なくとも努力をしなければ、裁判所は労働者の整理解雇の妥当性を認めません(解雇回避努力義務)。

もちろん、「何がなんでもAIの脅威から従業員の雇用を守らなければならない」ということではありませんが、少なくとも今後はAIによって自社の雇用も大きく変わることでしょう。

前述の『Works.137』は、企業の人事に向けて、「安心して共存するためのルールを、働く人とともにつくれ」「新しいことを常に学ぶ態度を身に付けさせよ」「AIによって人事自体の生産性を向上せよ」など、14の提案をしています。

AIブームを機に、自社の中長期的な雇用について考えてみてはいかがでしょうか。
2017年6月11日|カテゴリー「コラム

働き方改革の施策の1つ

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今年度(平成29年4月1日)から新設された雇用関係助成金の1つに「人事評価改善等助成金」があります。

本助成金は、生産性向上に資する人事評価制度と賃金制度を整備することを通じて、生産性の向上、賃金アップおよび離職率の低下を図る事業主に対して助成されるものであり、人材不足を解消することを目的として創設されました。

今話題の“働き方改革”の施策の1つだと言えます。

支給額、支給要件は?

支給額が最大130万円(制度整備助成:50万円+目標達成助成:80万円)と大きいこともあり、申請件数も増えているようです。
支給要件は以下の通りとなっています。

【制度整備助成】
(1)人事評価制度等整備計画を作成し、労働局長の認定を受けること
(2)認定された人事評価制度等整備計画に基づき、整備し実施すること

【目標達成助成】
(1)「制度整備助成」の措置を実施すること
(2)「生産性要件」を満たしていること
(3)離職率を目標値以上に低下させること
(4)毎月決まって支払われる賃金を2%以上増加させること

なお、(2)の「生産性要件」を満たすには、支給申請等を行う直近の会計年度における生産性がその3年前に比べて6%以上伸びていることが必要であり、計算にあたっては、厚生労働省のホームページでダウンロード可能な「生産性要件算定シート」を活用することでできます。

手続きの流れ

本助成金の大まかな手続きの流れは、以下の通りです。
(A)「人事評価制度等整備計画」の作成・提出…提出期間内に本社の所在地を管轄する都道府県労働局へ提出
(B)認定を受けた「人事評価制度等整備計画」に基づく人事評価制度等の整備…労働協約または就業規則に明文化することが必要
(C)人事評価制度等の実施…すべての正規労働者に実施することが必要
(D)制度整備助成の支給申請(50万円支給)
(E)目標達成助成の支給申請(80万円支給)
2017年6月4日|カテゴリー「コラム

全国の労働局の送検企業を一覧で公表

厚生労働省は5月上旬、長時間労働や賃金不払い、労災につながる安全配慮義務違反などの労働関係法令に違反した疑いで書類送検した企業名を、同省ホームページ(HP)に掲載しました。

掲載されたのは334件で、全国の労働局が昨年10月以降に書類送検した企業・事業所名、所在地、公表日、違反した法律、事案概要などを県別に並べたものです。

各労働局の発表内容を一覧表にまとめて公表したのは初めてのことです。

安衛法違反の事例が最多

公表されたリストの内訳をみると、企業が安全対策を怠った労働安全衛生法違反が209件で最も多く、次いで賃金未払いなど最低賃金法違反が62件、違法な長時間労働をさせるなどした労働基準法違反が60件、労働者派遣法違反19件などとなっています。

労働基準法違反では、女性社員が過労自殺した電通や、社員に違法な残業をさせた疑いで書類送検されたパナソニック、労災事故を報告しなかった疑いで書類送検された日本郵便などの大企業も含まれています。

また、他にも三六協定で定めた時間を超える違法な残業をさせた疑いで、印刷会社や運送会社などが書類送検されています。
同じ会社が複数回書類送検されたケースもあり、地域別では最も多かったのが愛知労働局の28件、次いで大阪労働局の20件、福岡労働局の19件となっています。

一覧は毎月公表、掲載期間は1年

厚生労働省は各労働局に対し、企業を書類送検したら公表するよう通達していますが、これまでは報道機関に資料を配布するだけの労働局が大半で、企業名をHPで公表する労働局は大阪や岩手など7局だけでした。

今回の公表は、昨年末に発表した「『過労死等ゼロ』緊急対策」の一環で、同省は「一覧表にすることで社会に警鐘を鳴らす狙いがある」としています。

なお、今後は月に一度内容を更新する方針とのことであり、公表期間は書類送検した日から約1年ですが、期間中に違法状態を改善した企業名はホームページから削除されるそうです。

2017年4月23日|カテゴリー「コラム

未加入の事業所の6割が「保険料の負担が困難」

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厚生労働省は、3月末に「社会保険の加入状況にかかる実態調査」の結果を公表しました。

この調査は社会保険の未加入が疑われる約63万事業所を対象に実施し、「未加入」と回答した事業所は13万5,490事業所でした。そのうち、加入手続を行っていない事業所は6万4,446事業所でした。

未加入の理由として、約6割の事業所が「保険料の負担が困難」であることを挙げています。

なお、未加入被保険者が多い業種は「不動産業」11.3%、「建設業」8.5%、「料理・飲食店業」6.9%、「飲食料品小売業」6.5%でした。

厚労省による加入促進の対策は?

厚生労働省は調査結果を踏まえ、この4月から社会保険の加入促進をより一層強化することを明らかにしています。

具体的な対策として、「飲食業」「理容・美容業」「社会福祉事業」が新規事業所の許可申請を行う際に、社会保険の加入状況を確認することになります。従来は「建設業」や「運送業」が国土交通省に許可申請の際に加入状況の確認行っていましたが、新たに対象業種が追加となります。

加入が確認できなかった場合には、日本年金機構や各都道府県の労働局へ通報し、加入勧奨を行います。

この取組みは今年7月から実施が予定され、今後は厚生労働省の所管以外の業種にも要請をするとしています。
また、既存の事業所への対策として、加入すべき被保険者数が5人以上の事業所から優先的に加入指導を行い、意図的に届出を行わない事業所には立入り検査を実施します。

今後はより効率的に

近年の社会保険の加入促進の取組みとして、平成27年度からは、国税庁の情報提供を受けたことにより、従業員の給与を支払っている事業所の把握が可能となりましたが、そのデータを加入指導に活用したことにより、加入につなげることができているようです。

今後はより効率的に事業者調査を実施し、加入指導を行うとしています。
2017年4月22日|カテゴリー「コラム

3割強の事業者では対応が間に合わない?

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5月30日から全面施行される改正個人情報保護法によって、法がすべての事業者に適用されることになり、企業も対応に追われているところです。

一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が日本商工会議所との共催で行った「中小企業向け改正個人情報保護法実務対応セミナー」(東京:2017年1月17日、1月27日の2回開催、大阪:2016年12月9日の1回開催)において、参加者に対して実施した改正個人情報保護法への対応状況についてのアンケートの結果によると(全セミナー参加者642名中、回答者544名)、改正個人情報保護法への対応について、現段階で「対応済みである」との事業者は全体の7.9%との1割に満たず、「2017年の春頃までには対応する予定である(できると考えている)」と回答した割合は59.6%、「いつまでに対応が完了できるかわからない」との割合は28.7%となったそうです。

昨年末から今年頭にかけての回答状況ですが、対応の進んでいない企業が少なくない状況が読み取れます。

改正法への対応として従業員教育を重視

また、改正個人情報保護法遵守のために何を行ったらよいかとの質問については、従業員教育(従業員の意識向上)(86.4%)、セキュリティ対策構築(情報資産に対するリスク洗出し、リスク対策、サイバー攻撃対応等)(73.5%)、個人情報保護方針や規程類の作成・見直し(71.5%)の順となっています。

同調査では、個人情報保護法の改正について「知っている」との回答は9割以上となりましたが、「改正の内容まで知っている」との回答は4割だったそうです。

内容までは知らない人という人がまだまだ多い中、まずは従業員教育の徹底は第一課題となりそうです。

施行まで2カ月を切る!

5月30日に迫った改正法の全面施行まであと2カ月を切っています。まだ対応が済んでいない事業者も多いかと思いますが、マイナンバー制度の開始から始まり、近時、企業のセキュリティ対策が強く求められているところです。

重大な漏えい事故が起これば企業の経営にも大きく影響しますので、早急な対策が望まれます。
2017年4月15日|カテゴリー「コラム

注目が集まる「健康経営」

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いま、「健康経営」が注目を集めています。

健康経営とは、従業員の健康管理を「コスト」ではなく「投資」として捉え、積極的に従業員の健康管理・増進に取り組んでいくというもので、従業員の活力向上や生産性アップ、企業のブランドイメージの向上などの効果が期待されています(「健康経営」はNPO法人健康経営研究会の登録商標です)。

国も積極的に健康経営を推進しており、経済産業省が東京証券取引所と共同で実施する「健康経営銘柄」や協会けんぽ(東京支部)の健康企業宣言、厚生労働省の安全衛生優良企業公表制度などがあります。

今回は、「健康経営優良法人認定制度」についてご紹介いたします。

「健康経営優良法人認定制度」とは?

この「健康経営優良法人認定制度」とは、経済産業省が主導となり、優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度です。

健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として社会的に評価を受けることができる環境を整備することを目的としています。
大企業だけでなく、中小企業も認定の対象となっており、今年2月21日に、2017年度の認定法人として大規模法人部門235法人・中小規模法人部門95法人が認定されました。

認定を受けた法人には、金融市場(低金利融資や従業員向け住宅ローンの優遇)や労働市場における優先的マッチング、入札加点等におけるインセンティブが付与されるよう、地域に応じた支援環境を整備していくとしています。

認定の基準はどうなっているのか?

中小企業に対する認定基準は、健康経営銘柄の評価の視点をベースに、全国各地の類似制度を参考に設定されており、以下の項目などについて、14の評価項目が定められています。

(1)経営理念(経営者の自覚)…健康宣言の社内外への発信及び経営者自身の検診受診
(2)組織体制…健康づくり担当者の設置
(3)制度・施策実行…従業員の健康課題の把握と必要な対策の検討(定期検診受診率、ストレスチェックの実施など)、健康経営の実践に向けた土台づくりとワークエンゲイジメント(適切な働き方実現に向けた取組みなど)、従業員の心と身体の健康づくりに向けた具体的対策(メンタルヘルス対策など)
(4)評価・改善(保険者との連携)
(5)法令遵守・リスクマネジメント
2017年4月11日|カテゴリー「コラム

「働き方改革実行計画」が公表

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3月28日に政府・働き方改革実現会議から「働き方改革実行計画」が示され、主な項目として、(1)同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善、(2)賃金引上げと労働生産性向上、(3)罰則付き時間外労働の上限規制の導入など長時間労働の是正、(4)柔軟な働き方がしやすい環境整備等が挙げられており、法改正を含めた今後の動向に注目が集まっています。

上記の項目のうち、(4)柔軟な働き方がしやすい環境整備の1つとして「副業・兼業の推進」がありますが、「副業・兼業」について、現在の企業の対応はどのようになっているのでしょうか。

禁止している企業の割合は?

3月14日に経済産業省から「多様で柔軟な働き方に関する3研究会報告書」が公表されましたが、この中の「兼業・副業を通じた 創業・新事業創出に関する研究会 提言書」によると、兼業・副業を禁止している企業の割合は77.2%でした。
また、「就業規則において禁止している」企業が48.0%、「兼業・副業に関する規定自体ない」企業が39.6%(2017年2月/リクルートキャリア社調べ)となっています。

メリットとリスクの両面から考える

上記の通り、副業・兼業については否定的な企業、または(容認しない前提で)規定自体がない企業が多いのが現状です。
副業・兼業については「社員の能力の成長を促すことができる」「社内では作ることができない人脈を作ることができる」といったメリットが強調されていますが、社内情報流出や個々人の労働時間の増加といったリスクもあります。

今後、厚生労働省のモデル就業規則が兼業・副業について「原則容認」とする方向で改定され、推進に向けたガイドラインが策定される予定となっていますが、企業としてはメリットとリスクの両面を勘案し、社員の副業・兼業に対してどのようなスタンスで臨むのか(認めるのか・認めないのか)、今から十分に検討しておくことが必要です。

2017年4月3日|カテゴリー「コラム

「下請法」とは?

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下請法は、正式名称を「下請代金支払遅延等防止法」といい、下請取引の公正化・下請事業者の利益保護を目的としています(下請法第1条)。

下請法の対象となる取引は、事業者の資本金規模と取引の内容で定義されています。大まかにいうと、事業を発注する「親事業者」とそれを引き受ける「下請事業者」があり、親事業者の一方的な都合により、発注後に下請代金が減額されたり、支払いが遅延したり、納品物の受領拒否がないようにしたりするために制定された法律です。


【親会社の義務】
・書面の交付義務:発注の際、ただちに3条書面を交付すること
・支払期日を定める義務:下請代金の支払期日を給付の受領後60日以内に定めること
・書類の作成・保存義務:下請取引の内容を記載した書類を作成し、2年間保存すること
・遅延利息の支払義務:支払が遅延した場合は遅延利息を支払うこと

【主な禁止事項】
・受領拒否:注文した物品等の受領を拒むこと
・下請代金の支払遅延:下請代金を受領後60日以内に定められた支払期日までに支払わないこと
・下請代金の減額:あらかじめ定めた下請代金を減額すること
・返品: 受け取った物を返品すること
・買いたたき: 類似品等の価格又は市価に比べて著しく低い下請代金を不当に定めること
・購入・利用強制: 親事業者が指定する物・役務を強制的に購入・利用させること

下請取引の現況

公正取引委員会の運用状況(2016年度上半期(4~9月))によると、下請法に違反した親事業者を指導した件数は3,796件と昨年度の上半期に比べ433件増え、過去最多となっています。

また、「指導」より重く、事業者名を公表する「勧告」は3件で、昨年度上半期を1件上回りました。

◆下請法違反対策への取組

経済産業省と中小企業庁は、昨年12月より下請法の運用を厳しくしています。また、今年1月からは、取引調査員(下請Gメン)を配置し、年間2,000件以上の下請中小企業を訪問して違反がなかったかを調べる取組みを始めました。

企業(親事業者)には、下請事業者が泣き寝入りすることのないような取引が求められます。
2017年3月31日|カテゴリー「コラム

改正道路交通法の改正点

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3月12日、改正道路交通法が施行されました。

主な改正点は、(1)準中型運転免許の新設、(2)75歳以上の高齢運転対策推進(臨時適正検査制度の見直しと、臨時認知機能検査・臨時高齢者講習制度の新設)の2点です。

今回は、多くの企業で注意が求められることになる、「準中型運転免許の新設」について、改めてチェックしておきたい点をご案内します。

準中型免許とは?

準中型免許は、満18歳以上から取得できる免許です。普通免許と中型免許の間に新設され、車両総重量7.5トン未満、最大積載量4.5トン未満までの自動車(いわゆる「2トントラック」まで)を運転することができます。

準中型免許で運転できるトラックは、例えば宅配便やコンビニの配送、建設や土木などの資材運送など、利用の範囲が幅広いのが特徴です。

特に運送業界は人手不足が深刻な状況ですが、準中型免許は18歳以上であればそれ以前の運転経験を問わずに取得することができますので、高校を卒業してすぐに就職しようとする人や、大学生・専門学校生のアルバイト等、準中型免許の取得により人材の活用の幅が広がることが期待できます。

事業場の留意点

一方で、普通免許で運転できる車両の範囲が狭くなる(車両総重量5トン未満だったものが、改正後は同3.5トン未満となる)ことに注意が必要です。

平成19年に「中型免許」の導入により運転免許の区分が変更された際には、運転免許証とトラックの自動車検査証の照合を怠った結果、普通免許では運転できないトラックを運転して無資格・無免許運転で検挙され、行政処分を受けるケースが多発しました。
違反自体は単なる「ミス」「勘違い」が原因であったとしても、そこから事故や違反項目が芋づる式に出てくることで、処分が予想以上に厳しくなるケースも決して少なくありません。

トラックを運転させる事業場では、各人が運転することができる車両の範囲について、しっかり確認することが求められます。
2017年3月29日|カテゴリー「コラム

ガイドラインの参考資料

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厚生労働省は3月1日、「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」の参考資料として、「脳卒中に関する留意事項」と「肝疾患に関する留意事項」を追加しました。

昨年2月に公表されたこのガイドラインでは、疾病を抱える方々の治療と職業生活の両立を支援する企業に向けて、適切な就業上の措置や治療に対する配慮を行い、治療と職業生活が両立できるようにするための取組みなどがまとめられています。

ガイドラインの中には参考資料として「がん」に関する留意事項がありますが、今回、「脳卒中」と「肝疾患」に関する基礎情報と、各疾病について特に留意すべき事項がガイドラインに追加されました。

今回追加した留意事項のポイントをみていきます。

脳卒中に罹患した労働者の両立支援にあたっての留意事項

ガイドラインでは、脳卒中等の脳血管疾患に罹患した労働者に対しての留意事項として、(1)再発等予防・治療のための配慮、(2)障害特性に応じた配慮、(3)復帰後の職場適応とメンタルヘルスを挙げています。

(1)について、会社は、労働者から再発予防のために継続した服薬や定期的な通院等の申出があった場合には、必要に応じて配慮することが望ましいとしています。また、痛みやしびれなどの後遺症が残る場合があり、就業上の措置を要する場合があることに留意が必要としています。

(2)については、会社は、産業医等と連携するなどして、障害の程度や内容に応じて、作業転換等の就業上の措置を行うことが求められます。

(3)については、脳卒中を発症し、手足の麻痺や言語障害といった後遺症に悩む労働者の中には、職場復帰後、発症前の自身とのギャップに悩み、メンタルヘルス不調に陥る場合もあるため、注意が必要としています。

肝疾患の両立支援にあたっての留意事項

ガイドラインでは、肝疾患の労働者に対する留意事項として、(1)肝疾患の特徴を踏まえた対応、(2)肝疾患に対する不正確な理解・知識に伴う問題への対応を挙げています。

(1)では、労働者から通院等への配慮の申出があれば、事業者は、海外出張や不規則な勤務を避けるなど、必要な配慮を検討し対応することが望ましいとしています。

また、肝硬変の症状があり、病状が進行している場合、記憶力の低下や瞬時の判断が遅れるなどの症状が出ることもあるため、身体的な負荷は小さくとも車の運転など危険を伴う作業は控える等の措置が必要なこともあるため、個別に確認が必要であるとしています。

厚生労働省は、今後、ガイドラインの普及や企業に対する各種支援によって疾病を抱える方々が治療と職業生活が両立できるような環境整備に取り組んでいくとしています。
2017年3月11日|カテゴリー「コラム

違反した喫煙者・事業者に過料

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厚生労働省が3月1日、東京五輪・パラリンピックに向けて、受動喫煙対策の新たな規制強化案を公表しました。

飲食店は原則禁煙とし、例外として喫煙できるのは小規模なスナックやバーなどに限定するなどが骨子で、違反した喫煙者が行政指導に従わない場合には30万円以下、事業者が従わなかった場合には50万円以下の過料を科すとしています。

同省は強化案を踏まえた健康増進法の改正案を今国会に提出する予定で、2019年秋に日本で開催されるラグビーワールドカップまでの施行を目指します。
日本の受動喫煙対策はこれまで努力義務にとどまり、世界保健機関(WHO)からは「世界でも最低レベル」と厳しく批判されてきました。
このため、新たな規制強化案では受動喫煙対策を義務化します。

禁煙の範囲は、小中高校や医療機関は最も厳しい敷地内禁煙とし、官公庁や福祉施設などは建物内禁煙とします。運動施設も建物内禁煙としますが、コンサートが行われるなど興行目的でも利用される場合は喫煙室の設置を認めます。

小規模なバーなどは一定の条件下で例外に

飲食店は屋外のテラス席も含め禁煙としますが、喫煙室の設置は認めます。居酒屋や焼鳥屋などについても、家族連れや外国人観光客の利用を想定し、対策を徹底することとしました。

一方、例外として小規模なバーやスナックなどでは、「受動喫煙が生じうる」との掲示や換気を条件に喫煙を認めます。面積が約30平方メートル以下の店が候補で、法案成立後に政令で定める予定です。

なお、ホテルの客室や老人福祉施設の個室なども喫煙は可能です。

5年間の経過措置

また、今回の規制強化案では、既存の喫煙室については施行後5年間、排気装置などで一定の基準を満たせばそのまま使用を認める規定を盛り込みました。

飲食店など喫煙室の設置が認められている施設だけでなく、医療機関や官公庁なども対象にしています。
ただし、禁煙ではなく分煙を推進すべきだとの意見は根強く、調整は難航する可能性があります。
2017年3月8日|カテゴリー「コラム

厚労省が指針を公表へ

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春の異動のシーズンを迎え、転勤となる従業員も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

現在、転勤にまつわる雇用管理について、厚生労働省の研究会で議論が進められており、3月末までに「転勤に関する雇用管理のポイント(仮称)」という指針を公表して、企業で活用してもらおうという意向のようです。

指針の中身

では、どのような中身になるのか、研究会の報告書案からその構成を見てみましょう。
まず、転勤に関する実態と、仕事と家庭生活の両立を軸とする視点からみた転勤を取り巻く課題が解説され、続いて「労働者の仕事と家庭生活の両立に資する観点からの転勤に関する雇用管理のポイント」として次の内容が盛り込まれています。

1.転勤に関する雇用管理について踏まえるべき法規範
(1)配転命令権
(2)転勤に関連するその他の法規範
2.転勤に関する雇用管理を考える際の基本的な視点
3.転勤に関する雇用管理のポイント
(1)自社の現状把握
(2)異動(転勤を含む)の目的・効果の検証
(3)基本方針(転勤を実施する規模)
(4)転勤に関する雇用管理の類型ごとの運用メニュー例

ポイントはどこに?

勤務地限定の合意等がなければ、従業員の同意がなくとも転勤は原則認められますが、一方で、近年では働き方の多様化への対応や、育児・介護等の家庭生活への配慮が求められるようになってきています。
指針は、従業員が長期的な職業生活・家庭生活の見通しを立てられるよう、会社は転勤の時期や頻度の目安等について従業員への明示を求める内容となるようです。

会社としても、従業員としても、転勤となればいろいろと調整しなければならない事柄が発生します。お互い、「早く言ってよ~」とならないよう、具体的かつ早めに意思疎通しておく必要があるということでしょう。

2017年3月6日|カテゴリー「コラム

2月末に結果公表

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厚生労働省では、年に一度、主要産業における企業の労働時間制度、定年制、賃金制度等について総合的に調査し、民間企業における就労条件の現状を公表しています。

今回は、2月末に発表された「平成28年度 就労条件総合調査の概況」から、年次有給休暇についての実態を見てみましょう。
なお、この調査は平成28 年1月1日現在の状況について行われていますが、年間については、平成27 年(または平成26 会計年度)1 年間の状況についての調査です。

年次有給休暇の取得状況

平成27 年(または平成26 会計年度)の1年間に企業が付与した年次有給休暇日数(繰越日数を除く)は、労働者1人平均18.1 日(前年18.4 日)、そのうち労働者が取得した日数は8.8日(同8.8 日)で、取得率は48.7%(同47.6%)となっています。

取得率を企業規模別にみると、1,000 人以上が54.7%(同52.2%)、300~999 人が47.1%(同47.1%)、100~299 人が44.8%(同44.9%)、30~99 人が43.7%(同43.2%)という結果が出ています。

次有給休暇の時間単位取得制度

過半数組合、それがない場合は過半数代表者との間で会社が労使協定を締結すれば、年に5日を限度として時間単位で年次有給休暇を与えることがでる制度(時間単位年休)が7年前から施行されています。

この制度がある企業割合は16.8%(前年16.2%)となっています。

取得日数が少ないと…

年次有給休暇は、労働基準法で定められた当然の権利ではありますが、「あまり取ってほしくない」というのが本音だという企業もあるでしょう。

しかし、このご時世、有休が取得できないとなると「ブラック企業」と言われかねず、企業としては悩ましいところです。
2017年2月13日|カテゴリー「コラム

「歩合給だから割増賃金なし」は有効?無効?

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タクシー運転手の給与には、一定の基本給と運賃収入に応じて支給される歩合給からなる「歩合給制」が多くの会社で採用されていますが、今月末、この歩合給制をめぐる注目の判決が出される見通しです。

本事件では、タクシー運転手ら14人が、歩合給の計算にあたり残業手当等に相当する額を控除する旨を定める会社の賃金規則は無効であり、控除された残業手当等相当額の支払義務があるとして、未払賃金および遅延損害金等の支払いを求めており、東京地裁は、公序良俗に反するとして未払い賃金の合計約1,500万円の支払いを命じました(国際自動車事件・東京地判平27.1.28)。

分かれる裁判所の判断

同事件では、同じ内容を請求する訴訟が次々に提起されており、現在、第4次訴訟まで提起され、原告も200名を超える大きな訴訟となっています。
そのうち第2次訴訟では、割増賃金の算出方法を定める労働基準法37条に違反せず、公序良俗にも反しないとして原告の意見を斥けて(東京地判平28.4.21)おり、裁判所の判断が分かれています。

高裁判決も「無効」だが…

第1次訴訟の高裁判決(二審)では、地裁判決(一審)が支持され、会社側に未払い賃金の支払いが命じられたことから、会社側が上告し、現在も最高裁で係争中です。

そして、最高裁判決を前に双方の意見を聞く弁論が開かれました(1月31日)。
この弁論は、一審・二審とは異なる判断がなされる場合に最高裁判決を前に開かれることが多いことから、今月末の最高裁判決では「これまでと結論が異なるのでは?」と注目が集まっています。

運転手の残業代計算に大きな影響が

上記の通り、タクシー運転手の給与では「歩合給制」が採用されているケースが多いため、この事件の確定判決が及ぼす影響が少なくないと見られています。
特に、運転手の残業手当の計算方法やその定め方について見直しを迫られるタクシー会社もあることでしょう。
タクシー会社に限らず「歩合給制」を採用されている場合は、一度、自社の賃金規則をチェックしてみてはいかがでしょうか?
2017年1月17日|カテゴリー「コラム

労働時間管理、メンタル対策がより重要に!

昨年12月下旬、厚生労働省から『「過労死等ゼロ」緊急対策』が発表されました。大手広告会社の一連の過労死事案等を受け、以下のように取組みが強化されることになりました。

大きく分けると「平成29年から実施されるもの」と「平成29年度から実施されるもの」があり、これまで以上に労働時間管理やメンタルヘルス対策、パワハラ等についての対策が重要となりますので、注意が必要です。

違法な長時間労働を許さない取組の強化

(1)新ガイドラインによる労働時間の適正把握の徹底【平成29年より実施】
企業向けに新たなガイドラインを定め、労働時間の適正把握が徹底されます。
(2)長時間労働等に係る企業本社に対する指導【平成29年より実施】
違法な長時間労働等を複数の事業場で行うなどの企業に対して、全社的な是正指導が行われます。
(3)是正指導段階での企業名公表制度の強化【平成29年より実施】
過労死等事案も要件に含めるとともに、一定要件を満たす事業場が2事業場生じた場合も公表の対象とするなど対象が拡大されます。
(4)三六協定未締結事業場に対する監督指導の徹底【平成28年度第4四半期に実施】

メンタルヘルス・パワハラ防止対策のための取組の強化【平成29年度より実施】

(1)メンタルヘルス対策に係る企業本社に対する特別指導
複数の精神障害の労災認定があった場合には、企業本社に対してパワハラ対策も含め個別指導が行われます。
(2)パワハラ防止に向けた周知啓発の徹底
メンタルヘルス対策に係る企業や事業場への個別指導等の際に、「パワハラ対策導入マニュアル」等を活用し、パワハラ対策の必要性、予防・解決のために必要な取組等も含め指導が行われます。
(3)ハイリスクな方を見逃さない取組の徹底
長時間労働者に関する情報等の産業医への提供が義務付けられます。問題のある事業場については、都道府県労働局長が医師による緊急の面接等の実施を指示できる制度が整備されます。

社会全体で過労死等ゼロを目指す取組の強化

(1)事業主団体に対する労働時間の適正把握等について緊急要請【速やかに実施】
(2)労働者に対する相談窓口の充実【平成29年度より実施】
(3)労働基準法等の法令違反で公表した事案のホームページへの掲載【平成29年より実施】
2017年1月13日|カテゴリー「コラム

副業についての気運の高まり

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個人による輸入ビジネス、Webメディアのライター、アフィリエイター、営業代行、民泊…。これまであまり一般的ではなかった「副業」ビジネスが、いま注目されています。

これらのノウハウを紹介する書籍が数多く出版されたり、人材サービス会社が副業斡旋ビジネスをはじめたりしています。

「週刊東洋経済」2016年10月29日号によれば、79.1%の人が「副業に関心あり」とのことですが、世の働く人にとって、副業の第一義は「収入の補助」です。特に近年は、残業削減の時流もあり、“長時間労働により残業代を稼ぐ”という働き方が難しくなってきていますので、「残業から副業へ」という流れが出てくるのも当然です。

また、近年の副業の特徴として、収入面以外にも人脈やスキル、やりがいなど、いわゆるパラレルキャリア形成も目的となってきていると「週刊東洋経済」は指摘しています。

政府も副業を奨励

政府も副業を後押ししています。
昨年10月、安倍首相は働き方改革会議において、副業・兼業について「ガイドライン制定も含めて検討する」といった趣旨の発言を行いました。

また、昨年末には厚生労働省が、今までモデル就業規則に記載されていた副業・兼業に関する規定を「原則禁止」から「原則容認」に転換する方針を示しました。

政府としては、いずれ訪れる労働力減少時代への備えとして、働き方の選択肢の1つとして副業を奨励したい考えのようです。

企業の8割は「不許可」

企業の多くは現在、自社の従業員が副業を持つことを禁じています。中小企業庁「平成26年度兼業・副業に係る取組み実態調査事業報告書」によれば、「副業を認めていない」企業は全体の85.3%でした。

また、日本経済新聞社が昨年実施した「社長100人アンケート」でも、経営者の8割が「副業を認めない」と回答しています。認めない理由としては「本業がおろそかになる」「情報漏洩のリスクがある」などが挙げられています。

他にも、企業にとっては、「副業を社員に奨励することで、業績への不安を煽ってしまう」「労災が発生した場合、本業と副業の判断基準が難しい」といった問題もあります。多くの企業にとって「副業を積極的に奨励するメリットは少ない」というのが本音ではないでしょうか。
一方で、ロート製薬やヤフージャパンなどは、副業を解禁したことで本業との相乗効果が出たと、数多くのメディアにて報道されています。副業と上手に付き合えば、企業にとってもメリットがあるということです。

副業が世間的に定着するのはまだ時間がかかりそうですが、自社において従業員の副業をどうすべきか、今から準備しておくとよいかもしれません。
2017年1月11日|カテゴリー「コラム

「プレミアムフライデー」とは?

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経済産業省は、月末の金曜日は早く仕事を終えることで消費を喚起する「プレミアムフライデー」を2月24日に実施することを決め、その方針や統一ロゴマーク等を公表しました。

経団連、流通業界、旅行業界、サービス業界など15の経済団体と経済産業省が参加する「プレミアムフライデー推進協議会」は、この取組を進めるにあたって、働き方改革などライフスタイルの変革とも併せて推進し、今後、付随する商品・サービス、イベントなどを地域・コミュニティ・企業等で検討していくとしています。

懸念される問題点

「プレミアムフライデー」に参加できる企業はすべての企業ですが、当然、飲食店、百貨店や娯楽施設等の従業員は働いていなければなりません。

これらに関連する企業の需要は増えますが、従業員は忙しくなり、勤務時間も増えるということになりかねません。

また、部署によっては月末の金曜日は仕事が集中するため、「終業時刻を前倒しできない」という声も挙がっており、その際は他の日の残業が増えるということも考えられます。

経済効果に期待!

このように、現段階では「プレミアムフライデー」の実施に対する賛否の意見がありますが、実施してみないとわからないところがあります。これが定着すれば全国的な消費拡大につながり、経済効果も期待できます。

なお、企業がこの取組に対応するにあたっては、月末の金曜日のみ退社時間を早めるための規定(就業時間)の見直し等を行わなければなりません。

「プレミアムフライデー」は様々な方面に影響があるかもしれませんので、今後の動向に注目です。

2月から実施!「プレミアムフライデー」は定着するのか? 

2017年1月7日|カテゴリー「コラム

企業や飲食店は「原則建物内禁煙」に?

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厚生労働省は、2020年の東京オンピックに向けて、全面禁煙を原則とする受動喫煙防止対策の強化案をまとめました。この案について現在、同省、財務省、業界団体との議論が行われています。

防止策の具体案では、施設の使用用途別に禁煙の基準を以下の3つに分類しています。
(1)「建物内禁煙」…不特定多数が利用する官公庁や公共施設等
(2)「敷地内禁煙」…学校や医療機関等、未成年者や患者等受動喫煙による健康被害を防ぐ必要性に高い施設
(3)「原則建物内禁煙(喫煙所設置可)」…(1)(2)以外の施設(企業や飲食店、娯楽施設等)

これに対し飲食業界などからは「喫煙室を設置するスペースはない」などとして、強い反対意見が出ているようです。

こうした中で厚生労働省は、11月から中央官庁で初の「敷地内禁煙」を実施しました。これまでは「建物内禁煙」でしたが、見本を示す形で、昼休みや夕方の時間帯を除き「敷地内禁煙」を始めました。

オリンピック開催国では罰則も

世界保健機関(WHO)と国際オリンピック委員会(IOC)は“たばこのない五輪”を推進しており、今年のリオデジャネイロは「敷地内禁煙」を実施、2012年のロンドンでは「建物内禁煙」を罰則付きで実施しました。また、2018年に控える韓国・平昌冬季五輪は、建物内は原則的に全面禁煙ですが、飲食店などには喫煙室の設置も認めるとしています。

2020年までに「ロンドン並みの厳格なルールにしたい」というのが本音ですが、喫煙室がなく分煙にしているだけの飲食店が多い日本の現状を踏まえ、「韓国並み」の案に妥協したとしています。

法整備に向けた今後の動向

厚生労働省は、たばこの葉を電気で温めて蒸気を吸う「加熱式たばこ」も規制対象にするか検討しています。「加熱式たばこ」は火を使わないため煙は出ませんが蒸気が出ます。しかし、現状では蒸気の人体への影響は定かではないことから「受動喫煙の文脈で規制するのは難しい」として調査を進めています。

受動喫煙防止対策案は来年の通常国会での法整備を目指しており、早ければ年内に規制の最終案が作成される予定です。
2016年12月26日|カテゴリー「コラム

長時間労働の是正が喫緊の課題

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現在、国を挙げて“働き方改革”に取り組もうという動きがありますが、特に長時間労働の是正は待ったなしの問題だと言えます。

今年6月に閣議決定された『ニッポン一億総活躍プラン』においても、「『睡眠時間が少ないことを自慢し、超多忙なことが生産的だ』といった価値観が、この3年間で変わり始めている。長時間労働の是正は、労働の質を高めることにより、多様なライフスタイルを可能にし、ひいては生産性の向上につながる。今こそ、長時間労働の是正に向けて背中を押していくことが重要である」とされています。

EU諸国では義務化

そんな中、長時間労働を是正する手段の1つとして注目されているのが、「勤務間インターバル」です。
この制度は、その日の勤務終了時から翌日の勤務開始時までに、一定時間(インターバル)を設けることにより、強制的に休息時間を確保するものであり、EU諸国では「24時間につき最低連続11時間の休息時間」が義務化されています。

日本でもこの制度を導入しようとする動きがあり、自民党の「働き方改革に関する特命委員会」は、今年中にまとめる予定の中間報告に「勤務間インターバル」の導入を進めるための環境整備に取り組むことを明記する方針を示しています。
また、厚生労働省からは、「勤務間インターバル」を導入した中小企業に対して助成金を支給する方針が発表されています(平成29年度からの予定)。

助成の対象となるのは、「就業規則等の作成・変更費用、研修費用、労務管理用機器等の導入・更新費用等」であり、助成率は費用の4分の3(上限50万円)となっています

 その他、導入事例集の作成や各種広報等により幅広く制度の周知を図る方針も示しており、今後ますます注目が集まりそうです。

【追記】
業務改善助成金(勤務間インターバル制度)の助成金が新設されました。

2016年12月20日|カテゴリー「コラム

「残業」に対して厳しい時代

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残業を規制する気運が高まっています。

政府が取り組んでいる「働き方改革」において長時間労働の是正が重要な柱とされており、さらに電通事件の社会問題化、過労死等防止対策推進法の施行、初の「過労死白書」発行などもあり、「残業」には特に厳しい目を向けられるご時勢となりました。
法律上、認められている労働時間・残業時間をおさらいしておきます。

まず、労働基準法において労働時間は「1日8時間、週40時間」と定められていますが、労使間でいわゆる「三六協定」を締結し、労働基準監督署に届け出ることで、「月45時間、年360時間」までの時間外労働が認められます。
さらに三六協定に「特別条項」を付けることで、繁忙期や納期直前といった臨時の場合に「上限なし」の時間外労働までもが可能となります。

厚生労働省「平成25年労働時間等総合実態調査」によれば、三六協定を締結している企業は、大企業では94%もあったのに対し中小企業ではわずか43%にとどまっています。

今のご時勢、「特別条項付三六協定」を締結しているからといって安心できません。

前述の電通でも「月間70時間まで」とする特別条項付三六協定を締結していましたが、事件を未然に防ぐことができませんでした。また、政府は現在、「残業時間の上限規制強化」や「違反企業への罰則の厳罰化」を検討しています。

企業にとっては、法的対応は当然として、さらに抜本的な残業削減の取組みが必要です。
読売新聞社が12月に発表した、全国主要企業を対象としたアンケートによれば、「残業時間に上限を設けた場合、業務に支障あり」と回答した企業は47%、「支障なし」と回答した企業は45%でした。

長時間労働を減らすうえでの課題(複数回答)としては、「管理職の意識改革」が最多の92%でした。具体的な残業削減の方法は企業規模や業種、企業風土によって千差万別ですが、カギとなるのは「管理職」ということで各社共通しているようです。

残業削減を実現できれば残業代も減額されますので、会社にとって大きなメリットとなります。会社のためにも従業員のためにも、今こそ残業削減に着手すべきだと言えます。

2016年12月19日|カテゴリー「コラム

約57万人分の資産が運用されず

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確定拠出年金(DC)制度で運用されずに放置されている預かり資産が今年3月末時点で1,428億円(約57万人分)に上ることが判明したそうです。原因の多くは、勤務先で「企業型」に加入していた加入者が転職時などに必要な手続きを行わなかったためです。

前年より約207億円も増加しており、この5年間では約2.6倍になりました。これらの資産は厚生労働省所管の国民年金基金連合会に移されて「塩漬け」になり、加入者は老後資金の運用機会を逃していることになります。

企業型DCの加入者は離転職時に注意が必要

確定拠出年金法では、企業型DCの加入者がDCを設けていない会社へ転職したり、自営業に変わったりした場合、個人型DCへの切替えや、加入の状況によっては一時金受取りの手続きを6カ月以内にとらなければなりません。

必要な手続きをとらなければ、資産は国民年金基金連合会に自動的に移されます。

この資産は運用されないので利息がつかないうえ手数料が差し引かれるため、目減りしていくこととなります。

資産がゼロになったケースも

移管された資産は、残高がゼロになった人を除いて1人平均約42万円で、残高別では、100万円超200万円までが2万人、200万円を超える人が1万3,000人等となっています。

約57万人分のうち約23万人分は、資産がなかったり金額が小さかったりしたこともあって、残高はゼロになっています。

周知対策が急務

厚生労働省は企業に対し、DC加入の退職者に必要な手続きを説明する義務を課していますが、罰則はありません。
多くの企業が何の説明もしていないのが実情と言われ、老後のために運用するはずの資産がムダになりかねない事態となっています。国民年金基金連合会も、資産を本来の持ち主に返そうと、通知を毎年送っています。

厚生労働省は、先月、年金記録を管理する機関に対し説明の強化を求めました。確定拠出年金法の改正で対象者が大幅に広がるなど、関心が高まっている中で、加入者への情報の周知や教育が一層求められることになりそうです。
2016年12月17日|カテゴリー「コラム

改正法が成立

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12月9日、衆院本会議で「改正がん対策基本法」が全会一致で可決、成立しました。

ここでは、企業の方も知っておきたい法律の概要と改正のポイントをご紹介いたします。

「がん対策基本法」とは?

同法では、「我が国のがん対策がこれまでの取組により進展し、成果を収めてきたものの、なお、がんが国民の疾病による死亡の最大の原因となっている等がんが国民の生命及び健康にとって重大な問題となっている現状にかんがみ、がん対策の一層の充実を図るため、がん対策に関し、基本理念を定め、国、地方公共団体、医療保険者、国民及び医師等の責務を明らかにし、並びにがん対策の推進に関する計画の策定について定めるとともに、がん対策の基本となる事項を定めることにより、がん対策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする」と定められており、平成18年6月に成立し、平成19年4月から施行されています。

改正内容のポイント

今回の改正の主な内容は以下の通りです。

(1)がんに関する国民理解と社会環境整備に向けての教育推進(第2条第4項、第23条)
(2)がん患者の雇用継続等に配慮するよう事業主に努力義務(第8条)
(3)がんの支持治療に伴う研究と対策(第19条)
(4)難治がん、希少がん、小児がんに関する研究促進(第19条第2項)
(5)小児がん患者の学習と治療の両立支援(第21条)

改正法では、「がん患者が安心して暮らせる社会」を目指すため、国や地域、また企業等に協力を強く求める内容になっています。

今後、事業主等に求められる対応

医療技術の進歩により、がんにかかっても通院しながら働く人が増えてきており、仕事と治療の両立が課題となっています。

事業主や担当者は、病気の種類や症状、法律の内容等について最低限の知識を身に付け、がんにかかった従業員が職場で不利益を被らないよう、他の従業員へのがんに関する教育や柔軟な就労時間の変更等、雇用の継続に配慮した対策が求められます。
2016年12月12日|カテゴリー「コラム

10年ぶりに見直しへ

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企業や行政機関の不正を告発・通報した者が不利益な処遇や報復を受けることを防止する「公益通報者保護制度」ですが、平成18年の施行以来、10年ぶりに見直しが議論されています。

今回は、消費者庁の有識者検討会が今月9日に見直しに向けた最終報告書をまとめましたので、その内容をご紹介いたします。

今後、消費者庁は通報者が受ける不利益の実態調査や経済団体と議論を交え、平成30年の通常国会以降の法改正を目指すとしています。

まだ少し先の話ではありますが、保護対象者の拡大や公表制度の設置など、企業にとっては気に掛けておくべき内容です。

検討内容

◆検討内容(1)~通報窓口を一元化
現在は、各行政機関に通報受付窓口があり、通報を受けると各所轄行政機関が調査を行っています。
今回の見直し案では、消費者庁が一元窓口を設けて情報を関係機関に振り分け、対応を監視、また、可能なものは消費者庁自ら調査することも求めています。

◆検討内容(2)~保護対象の拡大
現在は「労働者」に限定している保護対象を退職者や役員まで広げる方向です。
通報を理由に退職者が退職金の不支給や再就職の妨害を受けたり、役員が解任や再任拒否が行われたりするおそれがあることから、保護対象に含めるよう検討を求めています。

◆検討内容(3)~違反事業者への行政措置
現行の公益通報者保護法には、告発・通報を理由に、通報者に対して解雇や降格、減給など不利益な取扱いをすることを禁止していますが、罰則規定はありません。
そこで、行政機関が是正勧告しても従わない場合は、公表する制度を設ける方向で検討を求めるとしています。

◆検討内容(4)~斡旋・調停等の導入
通報者と会社との間で紛争になった場合に、行政機関が斡旋や調停、指導をする制度の導入を求めるとしています。
2016年12月1日|カテゴリー「コラム

売り手市場が続く!

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ここ数年、新卒採用は「売り手市場」が続いており、企業は採用活動を活発化させています。新卒採用にかかわらず、人手不足の中、採用難を感じている企業も多いことでしょう。

一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)が会員企業を対象に実施した「2016年度 新卒採用に関するアンケート調査」(調査期間2016年7月5日~8月22日、回答社数709社)によると、2017年4月入社対象の採用選考活動について、採用選考活動を実施した企業(実施予定も含む)の割合は96.8%と高水準で推移しているそうです。

2017年入社については「前年と比べて売り手市場であった」(71.3%)、「前年と変わらなかった」(26.2%)と回答した企業が多数を占めており、2016年入社においても9割弱が「前年よりも売り手市場であった」と回答していることから、売り手市場の状況は続いていることがわかります。

多様な選考機会を提供する企業が増える?

上記の調査では、「新卒一括採用についての現在と今後の基本方針」についても聞いており、現在の考え方としては、「春季一括採用のみ実施」(45.8%)との回答が最も多かったものの、今後については「春季一括採用を基軸としつつ、多様な選考機会を設ける」(53.6%)とする回答が最も多く、「春季一括採用のみ実施」とする回答(27.6%)よりもかなり多くなっています。

現状では春季一括採用を実施している企業でも、今後は多様な選考機会を検討していく例が増えていくことが予想されます。

経営環境の変化を踏まえた選考活動の検討

また、多様な選考機会を提供する理由としては、「様々な機会を設けることで優秀な人材を確保しやすくするため」(87.3%)との回答がトップで、「既卒者、留学生、外国人など多様な人材を確保するため」(74.8%)、「経営環境の変化を踏まえ、柔軟に必要な人材を採用するため」(71.3%)との回答が続いています。

人手不足やグローバル化の時代に向けて、現状の採用活動だけでは対応しきれないことを企業も感じ始めているようです。

中小企業も柔軟な発想が求められる

売り手市場が続く中、大手企業以上に採用活動に苦慮している中小企業は多いでしょう。

今後は、一時的な「売り手市場」「買い手市場」などの動向に惑わされず、長いスパンでみた独自の人材確保策を模索していくことが必要になってくるでしょう。
2016年11月29日|カテゴリー「コラム

東京地裁から東京高裁へ

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今年5月、東京地裁において、定年後に1年ごとの契約で嘱託社員として再雇用された複数の労働者(トラックドライバー)の職務内容が定年前と変わらないにもかかわらず、会社(長澤運輸)が賃金を約3割引き下げたこと(正社員との賃金格差)は労働契約法第20条の趣旨に反しており違法との判決がありました。

賃金格差について同条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)の違反を認めた判決は過去に例がなく、「通常の労働者と定年後再雇用された労働者との不合理な格差是正に大きな影響を与える画期的な判決である」との評価もあり、人事労務担当者にとっては大きなインパクトのある判決として受け止められました。

その後、会社側が控訴していましたが、11月2日にその判決が東京高裁でありました。

控訴審における判断は?

控訴審判決において、裁判長は「定年後再雇用での賃金減額は一般的であり、社会的にも容認されている」とし、賃金の引下げは違法だとして差額の支払い等を命じた東京地裁判決を取り消し、労働者側の訴えを棄却しました。

労働者側の弁護士は、「減額が一般的であるとしても通常は職務内容や責任が変わっており、社会的に容認とする根拠は何もない」として、上告する方針を示しています。

賃金の設定には慎重な判断が必要

最高裁まで進む可能性があるため、司法における最終的な判断がどのように確定するのかは不明ですが、「控訴審の判断が妥当」と見る向きが多いようです。

しかし、この事件が定年後再雇用者の処遇についてのこれまでの常識(当然のように賃金の引下げを行うこと)について一石を投じたことには間違いはなく、最終的な結論がどちらに転んだとしても、今後、会社としては「定年後再雇用者の処遇」については慎重な判断が求められると言えるでしょう。
2016年11月29日|カテゴリー「コラム

有給休暇は取りづらい?

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大手広告代理店の新入社員が過労自殺した事件を発端として、長時間労働の問題が様々なメディアで取り上げられているところです。

過重労働が常態化している企業では有給休暇の取得率も低くなっていると思われますが、「日本人は有給休暇を取りづらいと感じる人が多い」ということもよく言われています。

総合オンライン旅行会社エクスペディアの日本語サイト「エクスペディア・ジャパン」が例年実施している有給休暇の国際比較調査でも、日本は有給休暇取得率が約25カ国中で常にワースト1~2位となっているそうです。

2015年の同調査では、「有給休暇を取得するのに罪悪感がありますか?」という質問に対して、18%の日本人が「はい」と回答しており、その理由としては「人手不足だから」という回答が最も多く、休むことにより周囲に迷惑がかかることを気にする人が多いようです。

「取りづらいために取れない」という人が一定数いる

また、クリエイティブサーベイ株式会社が、20~40代の男女600名を対象に行った「有給休暇に関する調査」によれば、有給休暇の消化率について最も多かった回答は「25%以下」、 次いで「50%以下」となったそうです。「0%」(まったく有給休暇を取っていない)という人も15%もいました。

同調査では、有給休暇を「取得しづらい」と回答した人は60%に上っています。

取得しづらいため、「繁忙期を避けて取得する」「日程を変更して取得する」などとする人がいる一方、そもそも「有給休暇を取得しない」や「日数を減らして取得する」などとする回答も多数挙がったそうです。

仕事が多忙なためだけでなく、「取得しづらいために休みが取れない」という人が、一定数存在しているという現状がわかります。

企業の風土改善と取得率の向上

同調査では、有給休暇取得上ルール化されているものとして、「入社1年目は有給休暇を取得できない」「休暇中に何をするのか(したのか)報告しないといけない」「月初めや月末は有給休暇が取得できない」「1日に1人しか取得できない」などという回答が挙がるなど、有給休暇取得を阻む様々な事情があることもわかります。

国も有給休暇の取得率向上には力を入れているところですが、企業も有給休暇を取りやすい組織風土の改善等を検討しなければならないでしょう。
2016年11月28日|カテゴリー「コラム

ウェブ診断「スタートアップ労働条件」とは?

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厚生労働省は、事業場の労務管理・安全衛生管理について問題がないかをウェブ上で診断できるポータルサイト「スタートアップ労働条件」を11月1日より開設しました。

このサイトでは「労働条件の明示」や「時間外・休日労働協定の締結の有無」、「労働災害を防止するための安全管理者の選任」などの問題点を診断することできます。

これから起業する事業場はもちろんですが、現在の自社の労働条件等に問題がないかをチェックするのにも活用することができます。

診断結果に基づき、改善に向けた労働関係法令の情報が表示されるようになっていますので(法令の基礎知識や遵守すべき事項、手続き・届け出方法等)、ぜひ一度利用してみてはいかがでしょうか。

主な診断内容は?

以下の項目について、自社の診断状況を診断します。
(1)募集、採用、労働契約の締結
(2)就業規則、賃金、労働時間、年次有給休暇
(3)母性保護、育児、介護
(4)解雇、退職
(5)安全衛生管理
(6)労働保険、社会保険、その他

どうやって診断するの?

厚生労働省の事業者のための労務管理・安全衛生管理診断サイト(「スタートアップ労働条件」https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/)にアクセスします。

サイト内は「ゲストユーザー用」と「登録ユーザー用」とに分かれおり、ゲストユーザーは40問(所要時間約15分)、登録ユーザーは54問(所要時間約20分)のすべての設問に答えると、診断結果がレーダーチャートに表示されます。

カテゴリごとの得点や各設問についての解説などを確認することができ、2回目以降の診断では前回の結果と比較することができる機能も付いています。

2016年11月26日|カテゴリー「コラム

平成28年度の結果が発表

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内閣府が実施した平成28年度の「男女共同参画社会に関する世論調査」の結果が発表されました。

この調査では、男女共同参画社会に関する意識、家庭生活等に関する意識、女性に対する暴力に関する意識、旧姓使用についての意識、男女共同参画社会に関する行政への要望等について調査が行われましたが、今回は「働く女性」に関係する部分の調査結果を取り上げます。

職場における男女の地位の平等感

職場において男女の地位が平等かどうかについての調査では、「男性のほうが優遇されている」との回答割合が56.6%(「男性のほうが非常に優遇されている」15.1%、「どちらかといえば男性のほうが優遇されている」41.5%)、「平等」との回答割合が29.7%、「女性のほうが優遇されている」との回答割合が4.7%(「どちらかといえば女性のほうが優遇されている」4.1%、「女性のほうが非常に優遇されている」0.6%)となっています。

性別で見ると男性のほうが「平等」と答えた割合が高くなっており、年齢別では、「男性のほうが優遇されている」と回答した割合は40歳代が一番高い結果となっています。

女性が増えるほうがよいと思う職業や役職について

職業や役職において今後女性がもっと増えるほうがよいと思うものに関する調査では、「国会議員、地方議会議員」を挙げた人の割合が58.3%と最も高く、以下、「企業の管理職」(47.0%)、「閣僚(国務大臣)、都道府県・市(区)町村の首長」(46.1%)、「小中学校・高校の教頭・副校長・校長」(42.0%)、「国家公務員・地方公務員の管理職」(41.0%)、「裁判官、検察官、弁護士」(38.7%)となっています。

女性が職業を持つことに対する意識

一般的に女性が職業を持つことについてどう考えるかについては、「女性は職業を持たないほうがよい」との回答割合が3.3%、「結婚するまでは職業を持つほうがよい」が4.7%、「子供ができるまでは職業を持つほうがよい」が8.4%、「子供ができても、ずっと職業を続けるほうがよい」が54.2%、「子供ができたら職業をやめ、大きくなったら再び職業を持つほうがよい」が26.3%となっています。
性別に見ると、「子供ができたら職業をやめ、大きくなったら再び職業を持つほうがよい」との回答割合は女性のほうが高いことがわかりました。

年齢別に見ると、「子供ができても、ずっと職業を続けるほうがよい」と回答した人は40~50歳代で多く、「子供ができたら職業をやめ、大きくなったら再び職業を持つほうがよい」と答えた人は18~29歳で多くなっています。
2016年11月7日|カテゴリー「コラム

定年廃止・年齢引上げを行う中小企業は増加

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厚生労働省から、平成28年「高年齢者の雇用状況」(6月1日現在)が公表されました。

これは、企業に求められている高年齢者の雇用状況の報告を基に「高年齢者雇用確保措置」の実施状況などを集計したもので、今回の集計では、従業員31人以上の企業15万3,023社の状況がまとめられています。

この結果から中小企業(従業員31人~300人規模。集計対象は13万7,213社)の状況を見てみましょう。

「定年制の廃止」「65歳以上定年」について

定年制を廃止している企業は全体で4,064社(前年比154社増)、割合は2.7%(同0.1ポイント増)となり、定年を65歳以上としている企業は全体で2万4,477社(同1,318社増)、割合は16.0%(同0.5ポイント増)となりました。

このうち、定年制を廃止した中小企業は3,982社(同137社増)、割合は2.9%(同変動なし)でした。また、65歳以上定年としている中小企業は2万3,187社(同1,192社増)、割合は16.9%(同0.4ポイント増)でした。

「希望者全員66歳以上の継続雇用制度」の導入状況

希望者全員が66歳以上まで働ける継続雇用制度を導入している企業は、全体で7,444社(同685社増)、割合は4.9%(同0.4ポイント増)となり、このうち中小企業は7,147社(同633社増)、割合は5.2%(同0.3ポイント増)という状況です。

「70歳以上まで働ける企業」について

70歳以上まで働ける企業は、全体で3万2,478社(同2,527社増)、割合は21.2%(同1.1ポイント増)となり、このうち中小企業は3万275社(同2,281社増)、割合は22.1%(同1.1ポイント増)という状況です。

制度見直しの必要性

以上のように、人手の確保が大変な時代になり、定年制の廃止や年齢引上げを実施する企業は増加していますが、こうした状況は今後も続きそうです。

また、最近の裁判例では、「長澤運輸事件(地裁判決)」や「トヨタ自動車事件(高裁判決)」などのように、定年後の再雇用に伴う賃金や職種変更に関して、企業にとって厳しい判決が出るケースがあるようです。

定年後の再雇用制度を設けている企業では、制度の内容や実施方法について見直しが必要かもしれません。
2016年11月3日|カテゴリー「コラム

来年1月施行

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厚生労働省は、昨年10月から順次施行されている若者雇用促進法(青少年の雇用の促進等に関する法律)に基づき、マタニティー・ハラスメント(マタハラ)に対して、男女雇用機会均等法で義務付けた防止措置を講じない企業の求人をハローワークで受理しないように制度を改めます。

政令を改正して、来年1月から施行されます。

求人不受理の対象に「マタハラ」を追加

ハローワークでは今年3月から、一定の労働関係法令の違反があった事業所を新卒者などに紹介することのないよう、こうした事業所の新卒求人を一定期間受け付けない仕組みを創設しています。

具体的には、労働基準法・最低賃金法については、(1)1年間に2回以上同一条項の違反について是正勧告を受けている場合、(2)違法な長時間労働を繰り返している企業として公表された場合、(3)対象条項違反により送検され公表された場合、また男女雇用機会均等法と育児・介護休業法については、法違反の是正を求める勧告に従わず公表された場合等に、当該企業の新卒求人を受理しない取り組みを始めています。

今回は、その不受理の対象に、「マタハラ」に関する規定を加えるというものです。

両立支援で女性の社会進出を後押し

男女雇用機会均等法は、女性従業員の妊娠や出産を理由に職場で不利益な扱いをされることがないように、相談窓口を設置するなど防止体制を整備するように求めています。

厚生労働省の調査で法違反が見つかれば、是正を求める勧告を行いますが、それにも従わずに企業名が公表された場合には求人を受理しないこととします。不受理となる期間は、違反が是正されてから6カ月が経過するまでの期間となります。

育児と仕事を両立させる環境整備を企業に促し、女性の社会進出を後押しする狙いです。

就労実態等の職場環境に関するデータベースも整備

また、厚生労働省では、残業時間や育休の取得率など企業の職場環境に関する様々な情報を集めたデータベースを整備する計画です。

若者がいわゆる「ブラック企業」へ就職してしまうことを防ぐために、労働条件などの的確な情報に加えて、平均勤続年数や研修の有無・内容といった就労実態等の職場情報も併せて提供し、職場情報についての開示を強化するように企業側に働きかけ、学生や転職を考えている人がそうした企業に就職することを未然に防ごうというものです。

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